第028話 とりあえず入国

 オトカの消されそうな輸血劇が終わってから、僕たちはリクを移動した。てか飛行船墜落させたとか、僕たちの方がテロリストだろ、これ。

「シオリいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」

 で、なんでルーナがいるわけ。

 どうも、飛行船にくっついてきたらしい。ドラゴンの能力で。いや、超人すぎ。

「てめえは人間として! いや獣人として許さん! 人間性がねえわああああ」

「アヒャヒャヒャヒャヒャ! やーいやーい逆鱗なでてやろうか!」

 この二人いつまでああやってんだろ?

「こいつを殺すまでだ!」

「死ぬまでだよwwww」

 あ、はい(白目)。

「うひょひょひょひょ寿命が縮むぜ? いや、もともとつまんない人生! 早く終わらせて来世にかけるに限りますなァwwwww」

「自分の人生棚に上げやがってッ!」

「お? お? ついにやり返すようになりましたかm9(^Д^)プギャー」

「貴様こそ、その犯罪起こすしか能のない頭をカチ割って、人生にピリオド付けてやらァ感謝しろ!」

 何やら某、猫とネズミの追いかけっこのような状態になっているが、ほうっておこう。

「で、ルーナも来るのか?」

「うん。シオリの暗殺のためにな」

「ひえぇ」

「あいつはこの世界から抹消しないといけないッ」

 目が……こわい。

「とりあえず、そっちが拒否してもついて行くから」

 ルーナは、支度をし始める。

「し、シオリ……いいのか?」

「いいんじゃね(鼻ホジ)」

 そして着きましたプギャー帝国!

 古代から繁栄を遂げた、近代国家です!

「わーい! ピッツァですの!」

 この国の伝統料理で、穀物の粉で作った記事を薄く延ばして、その上にチーズを乗せた料理だ。

「とりあえず十枚」

「ミカエラ、それ一枚高いんだが」

「えー、旅行ですの早く食わせろですの!」

 とにかく、入国の事情を管理局に説明しないと、あとギルドにたどり着いて、そこの宿で休ませてもらうか……。


「よし、ばっちり」

「オトカ? 何してるんだ?」

「ナンパの準備」

「正しくはナンパされる準備だな」

「そう! 私は受けなの! 攻めじゃないの!」

 こいつなぁ……。

「うーふふふふふふふふ、ここの人たちロマンチストで積極的だから、きっと」

「もう帰ろ」

「ああああああ待って待って待って!」

「なんだよ?」

「血、抜いてくれない? あんたの分の血?」

「ええ、なんで?」

「だってぇ……私のハジメテ(の輸血経験)取られちゃうの癪なんだもん」

「ダメです死ぬぞ」

「ああ、薄れゆく意識の中で頭をつんざく快楽に身を奪われ」

 バタン。僕は扉を閉じた。


 うーん。とりあえず円形闘技場にシオリがいるって話だから、行ってみよう。

 

 わーわーわーわーわーわーわーわー!


「……?」

 なんか歓声が聞こえてくるんだが。

「異国から来た猫獣人! シオリ・ロータスリーブズ! これで八連勝だああああ」

 あいつ、なんか参戦してるし。

「はああああっはっはっはっはっはっはっはっは! おらおら、プギャー帝国民の力はこんなもんかあああ?」

 ……ほっとこ。

 どかーん。ばかーん。ぎゅーん。

 がらがらがらがら。

「……崩れたな」

 世界遺産だっけ? 崩れた()

「もういこ」

「ふぁあああああ芸術は爆発だあああああ」

 観客が湧きたってるんだが、すげぇなシオリ。


「あ、リンさん」

「るんるん! この野菜、すっごくおいしそうなんです!」

「あー、なんかオウショクサンサイの一種みたいだな」

 すると、後ろからルーナが付いてきた。

「な、なんで私が荷物持ちを……」

「そんなこと言わずに♡」

 どうもリンさんはルーナに付いてこさせてるようだ。

「私はシオリに復讐したいんだァああああああこんなことをやっている暇じゃないんだああああ」

「ふふ、なら私と協力しません?」

 リンさんがなんかヤバいこと言ってる。

「私も、シオリさんはミカエラちゃんの教育に悪いと思ってたんです。そうですよねケイさん?」

「ハイ。ソウデス」

「ですよね! それで、この旅行を機会に抹殺しようと思ってまして!」

「は、はぁ?」

 ほら、ルーナ困ってるよリンさん。しかし、目のハイライトをなくしたリンさんは、とどまることを知らない。

「ほら、利害の一致ってやつですよ。貴方はシオリさんに復讐できてハッピー。私はシオリさんが消えてハッピー。ね?」

「ええ……」

「ほら、はいって言うんですよ。言って下さい。言いなさい。言え」

「わ、わかった」

「わーい♡ じゃあ、さっそく暗殺計画を作りましょう!」

 なんか、ものすごいことになってるけど、もういいや(匙を投げた)。言っても聞かないだろうし。

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