第029話 ギルドに到着。

 よし、とりあえずはギルドに着いた……シオリの命が心配だけど。

「よーし、共用キッチンでこの国の料理を作っちゃうぞー!」

「わーいですのー!」

 シオリとミカエラは、さっそく鍋の前に食材を用意する。リンさんが、なんか悪だくみしてるような顔をしてるけど、無視無視。

「シオリの三分クッキング―! 今日はデザートも作りまーす!」

「はりきっていくですの!」

 嫌な予感しかしないな。

「おい、シオリ持ってきたぞ」

 僕は、追加の食材をテーブルに置く。オトカも同様だ。

「ほいほーい! 二人ともありがとね! それじゃあ俺の食材との決闘デュエル開始!」

「……」

「まずは、このコウテイロブスター(でっかいロブスター)を! オーブンにドーン! 塩漬けじゃあああああああああ」

 オーブンを塩で詰めるな。塩漬けは事前にやっとけ!

「あれ? 扉が閉まらないぞ? えーい後回しだ」

「はぁ……(ため息)」

「シオリ? こっちのトマトソースはどうするですの?」

「あ、ミカエラたん! トマトソースはね? そこのバクダントマト(破裂するトマト)を潰すんだよ? 爆発するから気を付けてね♡」

「こうするんですの? ……ひゃあ!」

「あーもー! しょうがにゃいにゃあ! シオリおねーたんがミカエラたんの全身をぺろぺろして、きれいにしてあげますからねー!」

 ヤベーやつだ……どうにかしないと!

「ほい! ぺろぺろぺろぺろぺろぺ」

「ひゃああああああん!」

「オトカ!?」

 ふー、間に合った。

「ミカエラ、とりあえずシャワー浴びて来い」

「はいですのー!」

 シオリは、ぺっぺと唾を吐いてから、ミカエラを追いかけようとする。

「ああああまってミカエラたん!」

「シオリ、お前はさっさと作れ」

「……はーい。では! 潰したトマトをフライパンで煮ます! そこにチーズを入れてスパイス」

「という名のトぶ薬だよな?」

「や、や、やだなー、漢方ですよ漢方」

「もう何も言わない」

「さーて、お次は! 燻製肉です! もうそろそろできたかな?」

「一から作ってたのかよ!?」

「ぐすッ! う、ううう。数年前から育てた子豚ちゃん。美味しく頂くね!」

「育てるところから……?」

 一からじゃなくてゼロから……?

「よっしゃ、できた! 後は麺をゆでて……あ、あとロブスターも! それとデザート用のフルーツ……」

「お風呂あがったですの!」

「オオオオオオミカエラたんくんかくんか」

 頭いかれてやがる……シオリ。ミカエラは麻薬だった……?

「……コロシテイイデスカ?」

「リンさんッ! 落ち着いて!」

 ルーナがリンさんを制止する。

「いや、なんなら私もがっちりそのソースに突っ込んで煮込んでやりたい気分だけど、今はまだ……ぐッ!」

 必死に自制しているようです。

「よっしゃああ! ミカエラ、デザート生成用の詠唱! 行ってみよ!」

「わーいですの!」

 ん? 詠唱?

「――私は菓子でできている


 血潮はチョコで心は砂糖」

 


 待ってこれ著作権に挑戦してない?



「幾度の調理を越えて失敗


 ただの一度も味見はなく


 ただの一度も喜ばれない」



 いや、失敗してんじゃん。



「彼の者は常に甘い糖の中で自分に酔う


 故に、その工程に意味はなく


 その体は、きっと塩でできていたあああ!」

 


 砂糖と塩間違えてんじゃん。これ絶対詠唱失敗だろ!



「うおおおおおおミカエラ! 魔力を材料に注ぐんだあああああ三分の尺が足りないッ!」

 うん、尺足りないからどうせ生成魔術でも使うんだろうとは思ってたよ。

「はいですのおおおおおおおおお菓子作り(錬金)ですのおおおおおおお」

 どうすりゃいいんだろう。

「「うおおおおおおおおおおおおおおおお」」

 少年漫画のラスボス戦みたいな気合で調理しないでくれます?

「で、できた」

 そこには、素晴らしいケーキが出来上がっていた。フルーツたっぷりのやつだ。

 バタッ。

「し、シオリィィィィィィィィ!」

「み、ミカエラ……げほッ!」

 血を吐いてるけど、放っておこう。

「そ、そんな。無茶だって言ったのに……」

「み、ミカエラ……」

「だめ! しゃべっちゃだめですの!」

「これを……ミカエラたんに……」

 何この茶番。あと、オトカ涙ぐまないで。

「な、なんですの? これ」

「それは、俺の大事な召喚獣たちを呼び出すためのメモだ……代わりにあいつらの世話をしてやってくれ……」

「そ、そんな!」

「……」

「シオリ……?」

「……」

「シオリ! シオリいいいいいいいいいいいいいいい」

 あれ? あいつ死んだ?

 いや、リンさんかつてないくらいに悪い笑みをしてるけど……。

「ふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふ( *´艸`)へへへへへへへへ、や、やりました。とうとうしおりの野郎をぶっ〇してやりましたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」

 うわぁ……(ドン引き)

 聞こえないように声押さえてるつもりなんだろうけど、ばっちり聞こえてるからね?

「シオリ、……忘れるその時まで忘れないですの! とりあえず、海に帰して差し上げますの!」

「よしよしよし。この私がシオリを海に帰してあげよう」

 ルーナお前。

「くへへへへへへへ術式の暴走装置が上手く発動したッ! これでシオリはおしまいだあああああやーいやーい社会不適合者めが! あ、ブーメランが頭に」

 あれ? シオリの遺体は? そう言えばこの遺体

「じゃっじゃあああああん! シオリのマジック大成功!」

 ……。こいつ、計画全部察してやがったな。

「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ! ルーナ! ざまぁみろ! リンさんは許すが、ルーナ、お前はいい気味だ!」

「……チ」

 リンさん、舌打ち……。

「ぬうああああああぬいいいいいい? ヤッチマッタな!?」

 ルーナ、ネタが古い……。

 とにかく、この国でしばらく観光することになりそうだな。あー愉快愉快(白目)。



 さーて、次回のドラマギカは?


「リンです。シオリさんが死ななかったのは癪だけど、何やら今度は、女子高生(概念)が町中をヒャッハーして回ってるみたいですよ? 略して『ヒャハる』ですね! どうも、町中の汚物を排除してるんだとか。サブマシンガン持ちながらそう言ってるんです。何やら波乱の予感……。


 次回のドラマギカは、

 『リジコ現る』

 『リジコ暴れる』 

 『一味戦慄する』

 の三本です!」


次回もまた見てくれ! えくすぷろーじょん! ふはははははははははは!



 to be continued……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る