第037話 GE☆DO☆U まさに鬼畜ッ!

「とにかく、脱出方法を考えよう」

 僕は、『魔王らしく』リーダーシップをとっていく。

 ちなみに、ルーナも一時的に協力してくれるそうだ。そのうち魔王一味に引きずり込んでやる。てか、シオリとルーナの関係性が完全にBLなんだけど、本人たちが雄かどうかわからないので、もしかしたら百合かもしれない。

「オトカ? 魔法は使えるか?」

「うーん。大規模な魔法を使うには魔法少女姿にならないといけないんだけど……。あいにく収納してたコスチューム奪われちゃって……あと、ハート型のステッキもいるし」

「うーん。コスチュームなしでどれくらい使える?」

 問題はそこだ。

「コスチュームなしだと、体に負荷がかかるんだ。あまり使いすぎると『人間に戻れなく』」

「ちょいまち、それ魔法少女じゃなくないか? 完全にあれだよな? ダークファンタジーの類だよな?」

「正確に言うと、人間としての外見も知能も消え失せて、人肉を捕食する魔獣に」

「おいおいおいおい、聞いてないけどそれ!? 何? 魔法少女の皮を被った鬱展開ですかあんた!?」

「それを抑えるためにコスチュームを着てるのッ! ステッキは制御装置ね!」

「……鬱展開になるくらいならいいや……、別を頼ろう(死んだ眼)」

 いや、この作者なら魔獣化して人間に戻れなくなったオトカを仲間で殺す、ぐらいのことは平気で考えそうだし(乾いた笑い)。んで、シオリがぼろぼろ涙を流しながらのたうち回る魔獣オトカを何回も剣で突き刺すんでしょ? 血まみれになりながら。お前の思考はすべてお見通しなんだよ!

「ふッ、あくまでこれはギャグ小説(?)だからな。……ルーナ、持ち物が無くても獣化はできるよな?」

「あ、ああ。もちろんだ」

 よし。幻獣人、ドラゴンの力をもってすれば、こんな牢屋恐れるに足りん!

「フハ、ふはははははははははは!」

「ただ、一つ問題が……」

「え」

「さっき脱皮しただろ? 脱皮したては皮膚が柔らかいから、満足に獣化できないんだ……」

「は!?」

「せいぜいが翼を生やすぐらいだと思ってもらいたい……」

「ち、ちくせう」

 困ったぞ……オトカとルーナがいれば破壊力は抜群だと思ってたんだが……。

「リンさん? いや、無理か。鎌もなければ壺もとられて……」

「いや、できます」

「へ?」

「脱出可能です。見回りの兵士にちょっと情報を流します」

 数時間後。


「ちょっと? そこの兵士さん?」

「ん? なんだい? 君は確かリン・ナミカゼ……」

「私から奪った蟲さんたちに餌、やりました?」

「い、いや。倉庫に壺は置いてあるけど」

 すると、リンは大げさに打ちひしがれる。

「あああ! どうしましょう! 蟲さんたち! お腹を空かせているに違いない!」

「お腹って、別にあんなの置いておいたってどうってことないでしょう!」

「違うんです! 蟲さんたちは、『蠱毒』の術式をかけられてるんです! 壺の中でえさを与えずに放置したら、争いあって共食いを繰り返し、残った蟲は強力な魔蟲イビルバグになってしまいます! そんなことになれば壺なんか破壊して周りに呪いを振りまきながら、ありとあらゆるものを喰いつくします!」

「へ、へ!?」

「人間の耳から侵入して、生きたまま脳を喰らいつくして卵を産み、幼虫が全身を食い破ってぶちぶちと」

「ひえええええええ大変だああああああああああああああ」

 兵士は慌てて倉庫に向かっていった。


「相変わらずえげつないなリンさん」

 僕は驚愕。いや、シンエン王国のときも同様の『手口』を使ってたけど。

「フフフ、みんな潜在意識の中に自分の敵を持ってるんですよ。それを蟲さんたちをきっかけに掘り起こしただけです」

「お、おう」

 なんか、魔術でもなくただの誘導作戦の様だったが、効果は抜群だ。

「で、どうやってここを出る」

「安心してください。蟲さんたちは、私の匂いをちゃんと覚えてます。餌を与えられるときに壺さえ開けてくれれば、自ら私の下へ寄ってきますよ」

「へえ……」

 なんかえげつない光景になりそうだけど、この人にとっては天国なんだろうな……。



「お父様!」

 部屋のドアを乱暴に開けるミカエラ。

「ど、ど、どうしたミカエラ」

「私決めましたの。この家を出ていきますわ! 縁切りですの!」

「待て! 早まるな! この国はどうするんだ!」

「こんな国どうでもいいですわ! 私はケイやシオリ、リンやオトカさん、それ以外の仲間たちと旅するですの! もっと広い世界を知るですわ!」

「いかん! 変な教育を施されてしまうぞ!」

「お父様も十分変な教育をしてるじゃないですの!」

 ミカエラはこぶしを握り締める。

「洗脳ですわ! まるで。何が公平公正な社会の実現ですの!」

「実際に国は安定してるじゃないか! ミカエラもこの素晴らしさをわかってくれ! たのむ!」

「全国民総軍人社会なんてロクなもんじゃありませんわッ! もう荷物はまとめてありますの! 今まで育ててくれて最低限の感謝ですわ! さようなら!」

「まて、待つんだミカエラァ! おい! ミカエラを捕まえろ!」

 周りにいた兵士たちが、ミカエラを捕まえにかかる。

 しかし、ミカエラは忍者のような動きで兵士の上を飛び越え、なんなく突破した。そしてグレネードを取り出し……。


 どかーん!


「おーっほっほっほっほっほ! 私は自由の身ですわァ! ヒャッハー!」

 ミカエラ、脱走。

「ケイたちは後で助けるですの! とりあえず逃げないと! シオリを見つけるですわ!」


 to be continued……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る