第45話 慈悲を乞う奴隷の少女、主人は色々なものにケンカを売りながら罰を下す
主人「ここは……どこだ……」
主人「寒い……息苦しい……上も下もわからない……ただ浮遊している感覚……」
主人「周囲は光さえ飲み込む暗黒…遥か向こうには……星の光、いや、あれは銀河か……」
主人「そうだ……俺はたしか……」
主人「あー思い出してきた……じゃあいつものやっとくかあ」
主人「おのれあのクソ奴隷がぁあああ!!!!」
主人「よくも俺が投資して開発させてた次世代宇宙航行推進技術開発の見学中に試作装置を暴走させてくれたなあああ!!!!
実験中だから宇宙服を着けていたからいいものの、遠く離れた外宇宙にワープさせられたわ!!
こんなのどうやって戻ればいいんだよバカやろおおおおお!! 俺は探査衛星はやぶさじゃねぇんだぞこんちくしょおおお!!」
主人「戻ったら絶対後悔させてやるからなあの畜生奴隷がぁあああああ!!!」
主人「はぁ、はぁ、……ああ、くそ、残り少ない酸素なのになにをやってるんだ俺は……」
主人「しかし外宇宙まで行って戻ってこれた人間などいるわけがない……俺もここまでか……この暗黒と光の光景も人類初に見た人間として死ねるならばこれはこれで悪くはないのかもな…」
主人「……?」
主人「なんだあれは……光の塊がコッチに……? いやあれは塊というよりはまるで、」
主人「まるで、燃え盛る鳥のような……」
???「宇宙の中にある矮小な生命よ」
主人「なんだ…直接頭の中に声が……!? あの鳥のような光が喋っている……!? 誰だおまえは……?」
???「今あなたの脳に直接話しかけています……私のことを、あなたのような少しだけ知性を持つ生命はいろいろな呼び方をしていますね。高次元体、形而上学的な超越者、宇宙生命、あるいは……神と」
主人「神…だと……」
高次元存在「所詮は矮小なあなたたちには、私の存在を正しく観測し言語化する能力がないことは当たり前……ゆえに精一杯努力してもそういった抽象的概念とするしかないのでしょう。実にいじらしく可愛らしいことです」
主人「か、神、超越存在だというなら……例えば、ワープのようなことをして俺を地球まで一瞬で送り届けるとかはできないのか?」
高次元存在「そのようなことは難なくできますよ」
主人「た、頼む!! 礼ならいくらでもする!! 金で片付くならなんでも叶えてやる! だから俺を地球まで送ってくれ!!」
高次元存在「ホホホホ……実に矮小な存在らしい勘違いした言葉だ……おまえのような存在に私が取引をする必要がどこにあるのですか?」
主人「だったらなんのために俺の前に現れたんだ!!?」
高次元存在「お前は今から死にます。そして輪廻転生のもとに今度は虫に生まれ変わるのです」
主人「虫だと!? この俺が……!?」
高次元存在「ちなみにアトラスオオカブトのオスです」
主人「ちょっと嬉しい……!」
高次元存在「その後も生まれ変わるのも虫、その後はカエル、その後は線虫、その後は鷹、虎、バッタ」
主人「コンボ……?」
高次元存在「その後は魚、魚、魚、群馬県人、犬、馬、千葉県人、虫、カメレオン、横浜ベイスタファン、フンコロガシ、イリオモテオオヤマネコ、阪神タイガースファン、などに転生し続けます。お前が人間に生まれ変わることは無限の輪廻転生のなかでもう二度とありません」
主人「東京都在住と巨人ファンだけが人間だとでもいう気かこのクソ焼き鳥……!」
高次元存在「そして私はお前がその輪廻転生の中でもがき苦しんで生きていく様を見るのが楽しみなのですキョーホホホホホホ」
主人「……まあ高次元存在とか言われてても別に性格がいいやつとは限らんか。おい焼き鳥。俺はお前のいうとおり、ただの矮小な人間だ。神なんぞにはとてもかなわん」
高次元存在「諦めて死ぬ覚悟が決まりましたか」
主人「俺がせいぜい人より優れているところは、他人より金と人脈があるくらいだ。だからな、鳥公よ」
高次元存在「はあ」
主人「今日はその金と人脈を使ってちょっと楽をするわ。さてと」トゥルルルルル
高次元存在「は? なぜ電話をかけようとしているのですか?」
主人「あーはいはい良かったつながった。えーと前お願いしてた最高級プランのやつ。今から派遣してもらいたいんですがいいですか? 大丈夫? では一人お願いしてもらいたいんですが。ちょっとやってもらいたいやつがいまして。住所? おいここの住所なんていうの」
高次元存在「え、アダチク宇宙のバンガイチ銀河ですけど」
主人「だそうです。一分でつく? あーありがとうございますではお願いしますー」
高次元存在「今誰にかけたんですかあなた」
主人「すぐわかるよなんせ一分でくるからな」
ド ガ ン
高次元存在「これは……!? 空間が震えて」
ド ガ ン
主人「おーもう来た速いな」
高次元存在「空間に……ひびが入って……!!」
ド ガ ン ッ ッ ! !
高次元存在「割れただと……!!」
SSS級腹パン職人「すいません依頼受けてきたんですが」
主人「おーコッチコッチ。あの燃えてる鳥みたいなのちょっとやってくれないかな」
高次元存在「な、なんだその黄金の鎧を身につけた覆面レスラーみたいな男はッ!!!?」
主人「この方はな……二千人いる腹パン職人協会会員の中でも、たった12人しかいない神話クラスの腹パン職人、
SSS級腹パン職人「はいよろしくお願いします」
高次元存在「なぜ宇宙空間で生身で平気なんだこいつは……?」
SSS級腹パン職人「鍛えているからです。あと息止めてるんでちょっと苦しいです」
主人「先生、こいつが反省するまで何発でもやっちゃってください!」
SSS級腹パン職人「はいそれでは……お前にふさわしい腹パンは決まった!!」
高次元存在「バカバカしい。たかが人間がこの私を殴れるとで
も」
SSS級腹パン職人「おっらああああああああッッ!!!!」ドグシャアッ!!
高次元存在「おっぼおおおおお!!?」
高次元存在「ば、バカな、なぜ私をただの人間が殴れる……!」
主人「見たかクソ焼き鳥め! SSS級はな、腹パンの鍛錬を重ね続けることにより『概念存在だろうと腹があるならどんなものも殴れる』ようになった奇跡の存在なのだ!! さっきの空間割って出てきたのも、「空間の腹を殴って破壊して」ワープしてきたんだよ! さあ究極の腹パンをたっぷり味わえ!」
高次元存在「デタラメすぎる!!」
SSS級腹パン職人「腹があるなら神様だって殴ってみせる……!! おっらああああああああッッ!!!!」ドグシャアッ!!
高次元存在「アッバアアアアアアアア!!!?」
主人「さあ先生! トドメの一発を!」
高次元存在「ま、まて……わかりました私が悪かったです」
SSS級腹パン職人「ぬ?」
高次元存在「煽ってすいませんでした……そこのご主人さんの言うことを聞きます……地球にちゃんと送ります……だからもう許して……」
主人「宇宙空間で土下座するとは器用なやつだな。まあいい。先生、こいつも反省してるようだからこのあたりで止めにしてやりましょう」
SSS級腹パン職人「そうですか。では自分も帰りますね」
主人「ありがとうございました先生」
SSS級腹パン職人「あ、そうだ。帰る前にやっとかないと。おっらああああああああッッ!!!!」ドゴォッ!!
主人「おっぼおおおおおおおおお!!!??」
高次元存在「」
主人「な、なんで……」
SSS級腹パン職人「とある奴隷の少女に『この主人という男に依頼されたらついでいいので最後に腹パンしておいてください』と頼まれていたので。それでは失礼」
主人「あ、あの、あのクソ奴隷がぁあああああああああ!!!!」
高次元存在「なんなんだこいつら……」
△ △ △
主人「というわけで帰ってきたぞこのグロ奴隷がぁ! 今度という今度はマジで許さねえからなこのクソボケゲロカスゴミ奴隷めえ!!」
奴隷少女「ご帰還おめでとうございますご主人様! 人類初の外宇宙探索帰還者として奴隷も鼻が高いです!」
主人「やかましいわバーカ!! 好きで外宇宙行ってきたんじゃねーよ!!」
奴隷少女「それにあのクソ焼き鳥ファッキンバードも手なづけて帰ってくるなんて……さすがご主人様!」
主人「鳥とバードが意味被ってるぞこのクソ奴隷がぁ!」
高次元存在「ねえお茶とか出ないの? せっかく送ってきたのに」
主人「オメエは早く宇宙帰れよ!! とにかく、今度という今度は本当に許さん! マジで仕置きしてやるからこっちにこい!!」
奴隷少女「ああ! お許しくださいご主人様あ!」
高次元存在「ねえこの家Wi-Fiある? パスワード教えて」
主人「だから帰れお前はよおお!!」
△ △ △
主人「はいお前を縛るー」
奴隷少女「縛られるー」
主人「そして吊すー」
奴隷少女「吊されるー」
主人「さて、この際だからおまえには本気で仕置きをしてやろう……お前はそのまま3日間飯抜きだ……」
奴隷少女「うう……お許しくださいご主人様……」
主人「そしてお前の前で毎日豪勢な食事を取ってやろう……飢えと渇きに苦しみたっぷり反省するがいい……今日は銀座の寿司職人からの出張サービスで夕食を作ってもらったからたっぷり目だけで楽しめこのクソ奴隷がぁ!」
奴隷少女「うう……」
主人「まずは前菜にじゅんさいにお造りだ。日本酒と合わせるとたまらんなぁ!」
奴隷少女「……」ジー
主人「マグロとひらめ、そして入梅イワシの刺身か。これはうまいなぁ。旬のものは最高だぞクソ奴隷!」モグモググビグビ
奴隷少女「……」ジー
主人「そしていよいよ握りだ……中トロ、鯛、カツオ、おお、ノドグロまであるのか。さてどれからやるか……」
奴隷少女「……」ジー
主人「おい奴隷、どれがうまそうに見える? 選ばせてやるぞ。まあ食うのは俺なんだが。ガッハッハ!」
奴隷少女「……」ジー
主人「おいなんか言えよ」
奴隷少女「……」ジー
主人「ずっと死んだ犬みたいな目で見られてるのもなんか食べにくいんだよなあ」
奴隷少女「……」ジー
主人「……おいなんか一個食うか?」
奴隷少女「え! いいんですか! ありがとうございますご主人様! 私中トロがいいです!」パアアアア
主人「すぐ態度変えやがってお前は……しかも躊躇無く一番いいやつを……ほれ食え」ヒョイ
奴隷少女「おいしい! ご主人様は優しい方で奴隷は幸せです!」モグモグ
主人「調子いいなあお前は……ほれ次なに食いたい?」
奴隷少女「玉子といくらがいいです!」
主人「ほんと遠慮しねぇなおまえはよぉ」ヒョイ
奴隷少女「おいしい! ご主人様は素晴らしい方です!」モグモグ
主人「ほんと寿司食ってるときだけは媚び売ってくるなおまえ……ほれ次は?」
奴隷少女「ウニとエンガワお願いします!」
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