第44話 慈悲を乞う奴隷の少女、主人は遠い空の向こうに想いを馳せながら罰を下す

主人「今日も空が青いな」


奴隷少女「そうですねご主人様。暖かくてとてもすごしやすいです」


主人「こんな良い天気でも花見の一つもできんとは、全く困ったもんだ」


奴隷少女「どうしても時期が悪いですからね。でも、こうしてご主人様と空を見上げてゆっくりするのも私好きですよ」


主人「はは、お前もすこしは嬉しいことを言えるようになったな。なぁ奴隷よ」


奴隷少女「なんでしょうかご主人様」


主人「なぜ俺の部屋に入っていきなり火炎放射器をぶっ放した?」


奴隷少女「コロナウイルスは熱に弱いと聞いてご主人様を守るために殺菌しようと」


主人「お前は知らないかもしれないけど俺も家も熱に弱いんだよ。火炎放射器の800度ぐらいの熱とか特にな」


奴隷少女「ご主人様が熱に弱い? またまたご冗談を」


主人「冗談はオメェの頭の中身だこの世紀末奴隷がよおぉ! まただ! また家燃えたぞ! 何度焼けば気が済むんだよ!」


奴隷少女「さすがに回し受けで火炎放射器ガードした時は目を疑いました。なんというカラテのワザマエ! タツジン!」


主人「俺もやってみたらできたからびっくりしたわ! もう許さん! 罰を与えてやる!」


奴隷少女「ああ! お許しくださいご主人様!!」



 △ △ △


主人「はい目隠しして」


奴隷少女「はい」


主人「はい靴と靴下脱いでー」


奴隷少女「はい」ヌギヌギ


主人「はいじゃあこっちそのまま歩いてー」


奴隷少女「はぁ……? 痛っ! 痛い痛い足痛い!! なにこれ!? なに? なんか踏んだ!?」


主人「床にレゴブロックをバラまいておいた! 日常に潜む激痛に悶えるがいいこの放火魔奴隷がぁ!」


奴隷少女「痛ったぁぁ!!」


 △ △ △


主人「ずいぶんとデカいオフィスに移ったものだな」


セールスレディー「主人さんからのご支援を頂けたおかげで経営が順調に伸びました。そのおかげですよ。いまでは私もCEOと呼ばれています」


主人「商売の回り始めにあまり設備投資にしすぎるのは良くないが……まあ順調で良かった。正直あんまり投資したくなかったんだけど」


セールスレディー「奴隷の少女さんからのアドバイスで海外に販路を広げたのが当たりました……いまではアマゾンと提携し全米とヨーロッパ、南米やアフリカへ釘バットを輸出しています!」


主人「なぁこれ明らかな武器の輸出としてなにか国際法に引っかかるんじゃ……」


セールスレディー「大丈夫です名目はスポーツ用品ですから」


主人「釘バットでやれるスポーツなんかねぇだろ……しかし良く売れるもんだな」


セールスレディー「向こうはコロナ騒ぎで弾薬備蓄する市民が多いそうですが、弾薬が買えなかったり警察の摘発逃れで接触爆破型釘バットが大好評でして!」


主人「海外は怖いなぁ」


セールスレディー「念願だった足立区への釘バット専門ショップも出店もできました! 多くの足立区民が行列に並んでいます!」


主人「足立区ってやっぱ怖いなぁ」


セールスレディー「とにかく全てがうまくいって怖いくらいです。本当にお二人にはお礼をいいたく」


奴隷少女「……本当にそうでしょうか?」


セールスレディー「え」


主人「……おい奴隷、なに家から持ってきてるんだ?」


奴隷少女「この海外モデルの釘バット……釘の配列がおざなりで柄のグリップの甘さが目立ちます。大量生産のために質を落としていますね?」


主人「なあそれ俺のお宝の特注で作らせたダー○ベーダーの等身大1分の1のフィギュアだよな? なぜそんなもんもってきたの? ねぇ?」


セールスレディー「そ、それは数を揃えるために仕方なく……ですが実用にはさほど差は……」


主人「ねぇ、ちょっとやめようよ? ね? ちょっと話しあおう? ね?」


奴隷少女「妥協は低品質を生み、低品質はブランドの低下に繋がる。あなたほどの人がなぜそれがわからないのか! ていっ!」ゴガン! グシャッ!


主人「ああああああ!! アナ○ンんん!! ア○キンの首がぁぁ!!」


奴隷少女「みてください今までの釘バットならもっと一撃の威力が一点に集中していたはず! こんなまがい物を売り出しては世界のユーザー、その釘バットへの認識を間違ったものにしてしまいます!」


セールスレディー「く、私としたことが初心を忘れていた……申し訳ない!」


奴隷少女「ダークサイドに堕ちずどうか精進し続けてください!」


主人「くぁwせdrftgyふじこlp」


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