第14話 慈悲を乞う奴隷の少女、主人はゆるく罰を下す。あとまたバカがやってきた
奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」
華奢な少女の声が、悲痛に響く。
主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」
肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。
奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」
少女の頬は涙で塗れていた。泥で汚れた古いメイド服。
主人「俺の寝起きを早朝寝起きバズーカで起こしにくるとはな!
しかも本物のバズーカを使いおって! 見ろ! 部屋の壁に大穴が空いたぞこのクソ奴隷が!」
奴隷少女「もうしわけありません御主人様! でも御主人様は前々から本物志向の方でしたので手を抜くわけにはと」
主人「いいわけになってねぇよこのクソバカ奴隷がああ!! やはりお前には罰で思い知らせてやるのが一番だな! こっちにこい!」
△ △ △
主人「今日は友人から届いた土産を使う!」
奴隷少女「これは……あのシュールストレミング!」
主人「そうだ世界一臭いことで有名な缶詰めだ!」
奴隷少女「こんなものを送ってくるなんて……その人は御主人様のことを嫌いなのでは……?本当にご友人ですか?」
主人「うるせぇバカやろう! 頼んで送ってもらったんだよ! よぉし、そこの十分に俺から離れた所から合図したら缶切りで開けて」
奴隷少女「……」
奴隷少女「御主人様あああ!!」タタッ
主人「わ、バカ缶持ってこっちくんなやめろバカ奴隷いいいいいい!!!」
プ シ ュ
主人「ああええああえああ!!!クサイイイイイイイイ!!!このバカ奴隷がああ!!」
△ △ △
主人「なあ奴隷」
奴隷少女「はい」
主人「綺麗な青空だなあ……」
奴隷少女「そうですねぇ」
主人「久しぶりに空を見上げた気がする。たまにはこうして、空を見るのもいいかもな」
奴隷少女「御主人様のお役に立てて嬉しいです」
主人「はは、奴隷には叶わないなあ。なぁ、なんで火吹き芸を家の中でやったんだ?」
奴隷少女「年末の隠し芸の練習したかったんですけど、外は寒くて家の中でと」
主人「全部外になっちまったじゃねぇかよ! 全焼すんのこれで何度目だ! もう許さんぞこのボケ奴隷がああ!!」
△ △ △
主人「ピーマンのピーマン詰め。ピーマンにみじん切りにしたピーマンがギッシリ」
奴隷少女「……」
主人「肉無し青椒肉絲。カウボービバップでも有名」
奴隷少女「……」
主人「ピーマンスープ。ポタージュにしたピーマン」
奴隷少女「ごめんなさい御主人様、もうピーマンは勘弁してくださいお願いします……」
主人「黙れクソ奴隷が! しばらくはピーマン祭りだ! この際だから好き嫌いも治してやる覚悟しろ!」
△ △ △
青年「君が、あの男から虐待を受けている話は聞いている」
奴隷少女「そ、そんなことは……あれは私がバカで無能な奴隷だから、御主人様に迷惑をかけて罰を受けているだけで……御主人様は、本当はお優しい人なのです」
青年「優しい人は奴隷を持たない。それに人をゴミやグズ呼ばわりしない。君はあの男のせいで正常な判断力を失っているだけだ。
あの男は……危険だ。僕の車に爆弾をしかけて脅迫してくるような卑劣なやつだ」
奴隷少女「そんな……御主人様がそんな恐ろしいことをするなんて」
青年「僕の目標は、世の中から君のような不幸な人を無くすことだ。今はまだ助けられないが、必ずここから出して見せる。僕を信じて待っていてくれ」
奴隷少女「私のような無能な奴隷のためにお客様がご苦労をなさるなんて、そんなことをしては……」
青年「僕を信じてくれ、必ず」
主人「おい! どこにいるバカ奴隷! 呼んだら来いといっているだろうが! また罰を与えられたいか!」
青年「く、あの男か……」
奴隷少女「は、はい! 今参ります御主人様!」
主人「今日は新鮮な寒ブリが手には入ったぞ! 刺身にブリ大根を作った! 照り焼きもある! 冷めないうちに早く食えこのバカ奴隷が!」
奴隷少女「わぁい!」
△ △ △
青年「あの男のTwitter……」
今日はうちのアホ奴隷にブリ大根を食わせてやった
いい気味だ
青年「ブリ大根……? 拷問かなにかの隠語か……?」
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