第7話 慈悲を乞う奴隷の少女、主人は友人を呼んで罰を下す

奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」


 華奢な少女の声が、悲痛に響く。


主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」


 肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。


奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」 


 少女の頬は涙で塗れていた。泥で汚れた古いメイド服。


主人「よくもこの俺に『ドナルド・トラ○プ大統領暗殺計画犯』などと冤罪をかけてくれたな!

デルタフォースとの銃撃戦で家の中がめちゃくちゃだ!

CIAのクソッタレ共め!

おまけにこれをみろ、ヒラ○ーからファンレターが届いたぞ! サウ○パークもネタにしやがった! もう許さん!」


奴隷少女「全米デビューおめでとうございます! それと人物名の発音がちょっと不明瞭なのでもう一度はっきりとお願いします」


主人「やかましいわこのクソぼけがああ! はっきり書いたらクソ面倒なことになるんだよおおお!!! あと五分遅かったから無人機から爆撃されていたんだぞ!」


奴隷少女「もう二度といたしませんから! お許し下さいご主人様!」


主人「いいやもう許さんぞこのゴミ奴隷が!

今日という今日は一晩かけておまえに罰を与えてやる! 泣いて許しを乞うてももう遅い! 友人たちも手伝いに来てくれたしな!」


老紳士「ほっほっほ、おやおやこんなかわいいお嬢さんがお相手してくるとはねぇ、私の孫と同じくらいじゃないか。一晩で壊してしまうには惜しいねぇ」


ヒゲダルマ「グッヘッヘ、こいつぁ上玉じゃねぇか。これで一晩遊んでいいなんて旦那は太っ腹だなあ! ぶっ壊してもいいんですよねぇ!」


奴隷少女「お、お許し下さいご主人様! どうかお慈悲を!」


主人「やかましい! おまえは一晩遊び相手になっていればいいんだよこのゴミ奴隷が!」




△ △ △


ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ


奴隷少女「はい国士無双(ライジング・サン)」


主人「はああああああ!?」


老紳士「ま、孫が待っているからワシそろそろお家帰らないと……」


奴隷少女「はい、明日の朝まであとまだ五時間ありますからねー。たっぷりやりましょうねー」


ヒゲダルマ「ふええ、もうやだよおボクもうお家かえるううママぁぁ! 助けてママあぁ! うわあああん!」


奴隷少女「はい、お客様。まだ壊れるには早いですよー。もっと壊れてもらいますからねー」


主人「ば、ばかな……天和二回に国士無双も出すとは……お、お前まさかイカサマを!」


奴隷少女「まさかそんな、疑うなんてお止めください……御主人様、バレなければサマはサマとは呼べないんですよ」


主人「こ、このゴミ奴隷がああああ!」



 これはとある中年の富豪と、奴隷の雀鬼との虐待と憎しみの連鎖に背中が煤ける無駄に緩い日常を綴った物語である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る