第48話 慈悲を乞う奴隷の少女、主人は生き生きと楽しんで罰を下す


奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」


 華奢な少女の声が、悲痛に響く。


主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」


 肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。


奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」 


 少女の頬は涙で濡れていた。泥で汚れた古いメイド服。


主人「お慈悲だとぉ!? よくも俺が寝ている間に孤島の森の中に放置してくれたなあ!! しかも島の中に殺人鬼五人と傭兵と借金で首が回らなくなったおっさんと親に売られた引きこもりの兄ちゃんとコモドオオトカゲ百匹も一緒にぶちこみやがってよぉ!」


奴隷少女「申し訳ありませんご主人様……デスゲームが流行ってると聞いて思わず自作してみたのですが誤ってご主人様も投入してしまって」


主人「コモドオオトカゲ多すぎなんだよデスゲームじゃなくてコモドオオトカゲゲームじゃねぇか!!レッドデータアニマルなんだと思ってんだおまえは!」


奴隷少女「凶暴な肉食トカゲでデスゲームもツクダオリジナルのバトルドーム並みにエキサイティングするかなって」


主人「殺人鬼も傭兵もコモドオオトカゲの群れから逃げまくって怯えてたわ! バランス考えろバランスをよぉクソゲー奴隷が!!」


奴隷少女「ちゃんと武器も用意してたんですけど、まさか設置ポイントがコモドオオトカゲに真っ先に占拠されるとは想定外でした……でもまさか元鉄工所経営のおっさんが廃材から槍を作り、爬虫類マニアだった青年が持ち前の生物知識で罠を考案し、ご主人様や殺人鬼や傭兵のみんなで頑張って罠をつくりコモドオオトカゲを攻略するなんて……さすがですご主人様!」


主人「殺人鬼もさすがに命がかかると素直に協力するもんなんだな」


奴隷少女「最後はみんなでイカダを作って無人島を脱出、『またどこかで会おう友よ』と序盤は対立気味だったご主人様とホッケーマスクが熱い握手を交わす全員生存の爽やかなシーンは感動で泣きましたよ」


主人「冷静に考えたら殺人鬼とまた会うのやなんだけど……」


奴隷少女「YouTube配信も好調で再生数もガンガン上がってわたしのおこずかいもウハウハです!」


主人「収益化してんじゃねーよこのクソ奴隷がよおお!!! 今度という今度はもう死ぬほど後悔させてやるからなあ!!!」



△ △ △


主人「はいコンボイの謎」


奴隷少女「あ、勝手に死んだ! なにこれ弾が見えない!」


主人「おそ松くんハチャメチャ劇場」


奴隷少女「フリーズする! セーブできない! なにこれ! ていうかよくご主人様メガドライブもってましたね……」


主人「伝説のセガの遺産だ。大切に使えクソ奴隷よ」


主人「あと最後はちびまる子ちゃんのおこずかい大作戦」


奴隷少女「これYouTubeのやつで見た……なにこの拷問みたいな運ゲー……」


主人「俺の自慢のクソゲーコレクションのクソゲー地獄だ!!最低一つ全クリするまで寿司は禁止だこのゴミ奴隷があ!!!」


奴隷少女「い、いやああ! 私は有野課長じゃないんですよ!!」


主人「黙れ! ゲームセンターCXはクソゲーばかりとりあげてるわけではないわこのバグ奴隷が!」



 △ △ △



奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」


 華奢な少女の声が、悲痛に響く。


主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」


 肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。


奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」 


 少女の頬は涙で濡れていた。泥で汚れた古いメイド服。


主人「よくも俺の顔の写真を勝手に使って包茎手術の広告つくりやがったなあ!!!!!!!なんで!!!なんでこんなことするの!!!ねえ!!!なんで!!!なんで!!!??」


奴隷少女「イメージキャラクターにピッタリかなって」


主人「ぶっ転がすぞこのクソゴミゲロ奴隷がよおおお!!!!俺の会社の従業員共が『おはようございますタートル会長ww』とか言い始めてなんだと思って調べたらこんな広告だしやがってよおお!!!!」


奴隷少女「ご主人の写真にリアルなタートルネックシャツ合成するのは苦労しました!」


主人「だからなんだよ誉めるわけねぇだろうがよおおおお!!!!??よりにもよって満面の笑みのやつ使いやがってえええ!!」


奴隷少女「でも来院が二割増えたと非常に好評でして」


主人「知るかボケがああああ!!!もう絶対許さねええからなああああ!!!!」



 △ △ △


主人「はいちょっと椅子に縛り付けた役者さん入りますねー。じゃあこの子で撮影お願いしまーす」


奴隷少女「あの……なんですか……これ、スタジオ……なにか撮影を?」


主人「もう俺の怒りも限界でな……ここで一つおまえに本当に後悔してもらうために『一生残る辱しめ』を録画し、それを広告に使おうと思う」


奴隷少女「ひ、ひいい!」


主人「くっくっ、想像するだけで面白いなぁおまえの恥ずかしい姿を何千万人が見るんだぞ……光栄だ喜べクソ奴隷よ」


奴隷少女「お、お許しください……!」


主人「もう遅い……さあこれを使ってもらうぞ……はい鼻にノズル突っ込んでえ!!」ブスー


奴隷少女「ああああ!!!」


主人「花粉症ハウスダストに効果的、鼻腔洗浄に使える鼻うがいスプレー好評発売中です!!」チュウウウウウ


奴隷少女「あああああ!!!反対側の鼻の穴から水がだた漏れえええ!!」ダバダバダバ


主人「これですっきりしたろうクソ奴隷がよおお!!!」

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