第47話 慈悲を乞う奴隷の少女、主人は終わる今年に思いを馳せながら罰を下す
ゴォーン ゴォーン
主人「聞けクソ奴隷よ……年末の鐘の音は魂が洗われるようだな」
奴隷少女「そうですねご主人様」
主人「人の煩悩の数、108つに合わせ108回鐘を叩くという。しかし人間の煩悩がたった108に収まるとはとても思えんなぁ」
奴隷少女「そうですねご主人様」
主人「今年は色々とありすぎたからなぁ。来年こそはなにか良い話があればいいのだが」
奴隷少女「そうですねご主人様。あの」
主人「なんだクソ奴隷よ」
奴隷少女「私、いつこのぶら下げられた木から降ろしてもらえるのでしょうか。とても寒いんですけど。あと孤独のグルメ年末スペシャルやるんでそっちみたいです」
主人「来年になってからだよバァーカ!! 大体このくそ寒い年末になぜこうなったのかいってみろこのクソボケ奴隷が!」
奴隷少女「え、えーとご主人様が暖房の効きがイマイチだなとおっしゃるので殺虫剤とライターで手製の火炎放射を行おうとしたのですが、間一髪でご主人様がライターを叩き落として防がれまして」
主人「うんそれから」
奴隷少女「その程度はまあ予測の範囲内でしたので、隠し持っていた瓶からガソリンをご主人様にぶっかけてマッチで暖めて差し上げようとしたのですが、これもご主人様が降りかかる液体を回避するという驚異のディフェンスを見せて失敗」
主人「うんそれから」
奴隷少女「これはもう奥の手の出番かなと天井にしかけてあった
これはもう最後の奥の手を切るしかないと部屋から脱出してですね」
主人「おまえ奥の手いくつ持ってんだよ……」
奴隷少女「年末の特売で買ったプラスチック爆弾を起動させたのですが、ご主人様も部屋から逃げ出していたため結局お家を吹き飛ばしただけで終わってしまいました……」
主人「ましたじゃねぇよこのボンクラ奴隷がよぉぉ!! お前が慌てて逃げ出すからなんかイヤな予感がして慌てて部屋逃げ出して助かったわ!!」
奴隷少女「ご主人様がご無事で私も嬉しいです!」
主人「黙れこの破壊神奴隷がよおおお!!! どーすんだよこのクソ寒い年末に家無き子じゃねぇか! 大工さんも年末お休みなんだぞ!!」
奴隷少女「でも、ご主人様と一緒にこの鐘の音が聞けましたね……」
ゴォーン ゴォーン
主人「鐘の代わりにお前の頭をど突き回して煩悩叩き落としてやりたいわこのゴミ奴隷め……!」
奴隷少女「あのご主人様……」
主人「なんだよこの野郎……」
奴隷少女「おなか空きました」
主人「あのなあ……今年は本場会津のそば打ち名人おばあちゃんから習った俺の腕を生かして一丁蕎麦でも打とうかなと道具揃えてたのに全部吹き飛ばしやがってよぉ……」
奴隷少女「カツ丼食べたいです」
主人「せめて『おそば食べたいです』くらい言えよコンチクショウ……」
主人「……俺も腹減ったなぁ」
△ △ △
主人「いいか今日はもう疲れたからお前の罰は明日考えるからな! 覚えとけよこのクソ奴隷!」
奴隷少女「わーいお蕎麦屋さん!!」
主人「おい親父、えーとなにしようか、かけにしとくかなあ」
奴隷少女「私カツ丼!」
主人「だから年越しなんだから蕎麦にしろよお前は!」
???「旨いですわ!」
主人「……?」
貴族令嬢「蕎麦屋の天ぷらは命たる汁との相性を重視して厚め、そこに汁を吸わせ一口!」ガブー
貴族令嬢「そして蕎麦屋飲みの日本酒の代名詞、剣菱の熱燗で追いかけるッッ!」グビー
貴族令嬢「ハッピーニューイヤー!!」パァァ
貴族令嬢「ふぅ……天ぷらで一杯で済めば後はメインの蕎麦……ここはかけではなくざるでさっぱりと……!」ズルズルー
主人「なんだあの貴族みたいなドレス着たやつ……!?」
奴隷少女「うるさいんですけど頭のおかしい人なのかな?」
主人「言葉にオブラート使えよバカ」
貴族令嬢「ふぅー、蕎麦湯も堪能しましたわ。お勘定!」
主人「……なんなんだありゃ? まあいいや、今日は疲れた。親父、剣菱の熱燗! あと天ぷらそばのざる! 今夜は呑む!」
奴隷少女「私カツ丼大盛り!!」
※今回の貴族令嬢というキャラクターは「小説家になろう」に連載中の「貴族令嬢がジャンクフード食って「美味いですわ!」するだけの話」からゲスト出演です。
https://ncode.syosetu.com/n2239ge/
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