第42話 慈悲を乞う奴隷の少女、主人は遥かなる流れの中で罰を下す

原始人「う、ウオーオッオ! オーオォー!」


主人「よし、これでマンモスのしとめ方は理解できたな。あとはこの崖に追い詰めて倒すやり方をもっと多人数でやれるようにすればコンスタントにマンモス狩りができる」


原始人「主人、あり、ありがとう、主人、教えた、槍の作り方、罠の作り方、家の作り方、仲間との連携、カレーとかいう毒の作り方、これで群れ飢えさせずに済む!」


主人「そうか、良かったな。これで俺も安心だ。あと毒っていうな」


原始人「ところで、よく、わからんのだが、この黒い石のデカい板はなぜ立てたんだ?」


主人「うんまあなんというかアーサー・C・クラーク的な雰囲気でるかなって遊びで立てた」


原始人「? よくわからん……う、ウオ、しゅ、主人、どこ、いくのか?」


主人「すまんな。俺には帰らればならぬ場所がある」


原始人「主人! ここずっといる! いろんなこと! 俺たちに教えてくれ! 主人! オレの友! お前オレの家族!」


主人「すまん、すまんな……だがこれ以上の知識を教えることはできないのだ……俺はこの時代の人間ではない……」


原始人「主人…なにいってる? オレにはわからない!」


主人「洞窟の奥にワームホールらしきものを見つけた。これなら俺の時代に帰れるかもな……さらばだ。五万年前の親友よ」


原始人「主人!」


主人「さて、帰る前にアレをやっておくか?」


原始人「?」


主人「ああのクソ奴隷があああああっっ!!!」


原始人「」


主人「よくも遺跡見学中に爆破してくれたな! 土砂と岩石に埋まって死ぬかと思ったわ! タイムスリップして石器時代ってどういう話の流れだわけわからんわ! 帰ったら死ぬほど仕置きしてやるからなぁあああ!!!」


奴隷少女「お帰りなさいませご主人様! ……タイムスリップ? もーご主人様ハインラインの読み過ぎですよー」


主人「うるせぇ俺はフィリップ・K・ディック派だ! サーベルタイガー相手に投石で撃退したり死ぬかと思ったんだぞ! 消える魔球を投げられなきゃ死んでいたわ! そんなことよりお前に罰を与えるほうが先だ! こっちにこい!」


奴隷少女「えーちょっといくらなんでも話が……あれ?」


ニュースキャスター「臨時ニュースです」


ニュースキャスター「中央アジアの洞窟にておよそ五万年前に描かれたと思われる壁画が発見されました。サーベルタイガーらしき生物と、男性が戦う場面らしき絵です。酷く憎たらしい顔をした男性が石を投げてサーベルタイガーを追い払っている部族の英雄の絵ではないかと専門家は……」


奴隷少女「……え、マジで? マジでタイムスリップしたの!?」


主人「なにをやっている! 早くこっちにこいクソ奴隷が!」



 △ △ △


主人「今日は北海道までカニを食いにいく予定でしたが」


奴隷少女「はい」


主人「罰としてお前は居残りです」


奴隷少女「ご主人様ああああ!!! お許しくださいいい!! 二度といたしませんからああ!!」


主人「うるせぇバーカ! お前はこっちのカニカマだけ食ってろこのクソ奴隷がぁ! あとで動画でタラバや毛ガニ食ってるところを見せつけてやるからなぁあ!」


 △ △ △


奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」


 華奢な少女の声が、悲痛に響く。


主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」


 肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。


奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」 


 少女の頬は涙で濡れていた。泥で汚れた古いメイド服。


主人「なにがお慈悲だこのクソ奴隷がぁ! よくも俺が寝ている間に残り二話で制作が遅れて放送延期になりかけたアニメスタジオに送り込んでくれたな!」


奴隷少女「申し訳ありませんご主人様! もう二度といたしませんから! でも監督逃亡から万策尽きたのを見事立て直して放送日に最終回を間に合わせるなんてさすがご主人様です! 最終回のラストバトルがヌルヌル動くと大評判ですよ!」


主人「うるせぇぞこの腐れ奴隷がああ!! 俺が昔代々木アニメーション学院に通った経験がなかったら危なかったわ! なにが「彩色だけちょっと手伝って」だ!? 結局動画や原画までやらせやがってよおおおお!!! 進行まで手伝わされたわ! あの総集編やるしか能がないやつらがよおお!!」


奴隷少女「逃亡した監督を捕まえてアニメスタジオに監禁するなんてさすがご主人様です! まるでSHI○OBAKOみたい!」


主人「西荻窪の居酒屋探したら30分で見つかったぞあのクソ野郎! しかもスタジオにはかわいい女の子なんかいなくてスタジオに住んでる目が死んでたおっさんかスタジオの備品になってる目がイってた兄ちゃんかしかいなかったわ! なにがSH○ROBAKOだ! あんなのただのTAKOTSUBOじゃねぇか!!」


奴隷少女「で、でもクリエーターには夢があるから……」


主人「黙れこのクソ奴隷が! コカインマフィア壊滅させた時よりきつかったわ! マジで死を覚悟したぞ! 今日こそは思い知らせてやるこっちにこいこのゴミ奴隷がああ!!」


奴隷少女「お許しくださいご主人様!」



 △ △ △


主人「俺が前にアプリ消した某偉人大戦ゲー……データがひもづけされてるから復元できたんだなぁ。知らなかったわあ」


奴隷少女「う、うぅ」


主人「ほーいろいろ育ててるなぁ。じゃあこのロックがかけられてるめっちゃよく育った星3のキャラクターのロックを外してぇ……」


奴隷少女「お、おやめくださいご主人様ぁ! 私が悪うございま」


主人「全然育ててない星5に配合っと!」


奴隷少女「あああああああ!!!私のIZOおおおお!IZOちゃああああん!!私のSEIHAI二個おおおお!!!あああああああ!!!」


主人「どうだ代わりに星5が強くなっただろう! やはり今の時代は未亡人系内気巨乳キャラが一番だな!」


奴隷少女「くぁagpjmdgptammwdmtppmふじこ」

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