第36話 慈悲を乞う奴隷の少女、主人は耐え難きを耐えて罰を下す


奴隷少女「もうしわけありませーんご主人様!」


奴隷少女「……」


奴隷少女「もう二度といたしませんのでお許しくださーい!」


奴隷少女「……」


奴隷少女「間違えてご主人様の寝室にロケットランチャーを撃ちこんでしまいました!」


奴隷少女「……」


奴隷少女「よし、出てこないな」


傭兵「ヘイ、雇い主ドレイ・ガール。コレデ 仕事 オワリネ。家ヒトツ 吹キ飛バス RPG10発ハ 撃チスギヨ モタイナイ」


奴隷少女「サンキュー、カシム。国の家族にはすでに送金しました。はいこれサービスの偽造ビザ。さっさと国外に出たほうがいいですよ」


傭兵「オー、アリガト。アナタ 二 神ノ幸運 アリマスヨニ」


奴隷少女「はいはい家族によろしくね……ねぇ、カシム」


カシム「ナニネ」


奴隷少女「後ろ」


カシム「ナニ?」


主人「おっらああああ!!」ゴスッ


カシム「」バタッ


奴隷少女「ああ!ご無事だったんですねご主人様! 良かった!」


主人「良かったじゃねええよこのテロ奴隷がよおおお!! こんなこともあろうかと寝室に日曜大工で核シェルター作っておいて助かったわ! しかも傭兵の金はまた俺のクレカから送りやがってなああああ!!

今のご時世警察からテロ支援と思われて聞き取り来ると面倒なんだぞ!?」


奴隷少女「傭兵を呼んでしまったのには理由が……」


主人「理由もクソもあるかボケエエ!!」


奴隷少女「実はカレーの作り方を聞きたくてインド人シェフを探してたんですが」


主人「ああ? なんでインド人から傭兵来るんだよ?」


奴隷少女「でもインド人シェフって少ないらしくてならばとパキスタンの国のシェフ探して来てもらったんですよ」


主人「まだシェフじゃねぇか」


奴隷少女「でもよく聞いたらパキスタンじゃなくてアフガニスタンだったって判明して、しかもシェフじゃなくて傭兵だっていうし、家族のために稼がないと帰れないっていうから、じゃあしょうがないからロケランでも撃ってもらおうかなって」


主人「かなじゃねぇよバーカ! タンしか合ってねーじゃねーか!」


奴隷少女「パッと見どっちもターバンみたいなの被ってたしよくわからなかったんです……ごめんなさい、私はグズで頭の悪い奴隷だから……」


主人「カレーとロケランの区別ぐらいつくだろアホか! 偽造ビザまで渡しといて今更そんな手食うわけねーだろ!

また家建て直しじゃねーか! 今度という今度はその体にイヤというほど教えてやるからなこのクソ奴隷がああああ!!」



 △ △ △


主人「ふふふふ……これがわかるか?」


奴隷少女「ひ、ひいいい! それは……」


主人「さぁ……これを食ってもらうぞ。沢山なぁ」


奴隷少女「やめてえ! それだけは、それだけは勘弁してくださいご主人様ぁ!」


主人「縛られては反抗できまい……さあ無理やりにでも口に入れてやる……たっぷりと味わえ……心配するな食べればお前もすぐにこれの味がわかるようになる」


奴隷少女「む、むぐうううううう!!」ジタバタ


主人「さあしっかり食え『た○のこの里』をなああああ!! お前のような薄汚いきのこ派のゴミ奴隷にはもったいないくらいだぞおおおお!!」 



 △ △ △


セールスレディ「この度はまたも助けて頂き本当にありがとうございました……」


主人「放火って罪重いからさあ……ほんとああいうのやめたほうがいいよ。警察さんも暇じゃないし」


セールスレディ「弁解のしようもございません……」


主人「正直キミ家の中に入れるのめっちゃコワいんだけど謝りにきたっていうからさあ……いや心入れ替えてくれたらそれでいいから」


セールスレディ「はい、私ももう釘バットを作っていく時代ではないとやっと気づきました」


主人「もっと早く気づいてくれないかなあ」


セールスレディ「商売は時流に乗るのが鉄則。私は父がバットに釘を打つ姿が好きでこの仕事を継ぎました。父は優秀な釘バット職人でしたから、足立区にあった店にはヤンキーやモヒカンがよく父にお礼を言いに来ていつも賑わっていて」


主人「足立区ってコワい所だなぁ」


セールスレディ「でも、もうそんな時代じゃないんです。これでやっと私も諦めが」


主人「そうだなあ他のことやったほうが」


奴隷少女「本当にそれでいいんですか!?」


主人「え」

 

奴隷少女「あなたの作った接触爆破式釘バット、持ったバランスや爆発力、振った時のミート感、釘が飛び散る計算された角度、素晴らしいセンスと情熱を感じる商品でした! そんなあなたが、諦めてしまっていいんですか!?」


主人「ねぇ、ちょっとやめてよ」


セールスレディ「あなたは……私のバットを買ってくれた……」


奴隷少女「時流に乗らないからなんだっていうんですか! 時流を作る意欲がないものなんていくら作っても簡単に忘れさられてしまう! でも、この釘バットに殴られた人はきっと一生忘れられない思い出になります! いいんですか、そんな釘バットを捨ててしまって!」


主人「そら忘れらんねぇだろよ。一生の最後の記憶かも知れないし」


セールスレディ「ありがとう……それだけで今までの苦労が報われる……でももうダメなんです……資金が尽きて、どこも援助をしてくれず」


奴隷少女「この釘バットの良さをわかってくれるスポンサーを探すんですよ! きっといます!」チラッ


セールスレディ「でも、そんな人は一体どこに……こんな私たちを救ってくれる大口スポンサーなんて……!」チラッ


主人「……」


奴隷少女「探すんですよ! きっといます!」チラッ


セールスレディ「こんな私に……融資してくれる人が……」チラッ


主人「……」


奴隷少女「諦めないで!」チラッ 


セールスレディ「ああ、一体どこを当たれば……!」チラッ


主人「……絶対俺は出さないからなあおまえ等ああああ!!」

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