第32話 慈悲を乞う奴隷少女、主人はソリッドなリリックをストリートに刻みながら罰を下す

奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」


 華奢な少女の声が、悲痛に響く。


主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」


 肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。


奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」 


 少女の頬は涙で塗れていた。泥で汚れた古いメイド服。


奴隷少女「エイヨー! ファッキンファッキンガイズ! チェケラ!」


主人「なにが許せだこのクソ奴隷、泣き叫んで反省せい!

 お前のやらかし耐えらんねー、今日も今日とてたまらんねー

 寝起きに塩酸ぶっかけて、ブレックファーストにヒ素を盛る!

トイレに入りゃ便器にマムシ! そいつが俺の息子に元気にグワシ!」


奴隷少女「オーライト!」


主人「車に乗ったら座席に爆弾! たまらず飛び出すオーマイガー、受け身でしのいでナンマイダ! 爆風吹き荒れ死ぬかと思った、これで何度目だこのクソ奴隷! たっぷり躾るぜ反省せい!」


奴隷少女「セイ! ホー!」


主人「ホー!」





奴隷少女「なぜヒップホップ風……?」


主人「お前もいちいち合いの手いれてくるなよ……」


 △ △ △


主人「はいお前を縛るー」


奴隷少女「縛られるー」


主人「さらにそのまま天井に吊り下げるー」


奴隷少女「吊り下げられるー」


主人「そして俺は耐薬品スーツとガスマスクを着てー」


奴隷少女「?」


主人「お前の真下でシュールストレミングの缶詰めを開けるー」プシュ


奴隷少女「あああああああああっっ!? クッサアアアアア!!」


主人「こないだは自爆で相打ちだったからな! 俺は執念深いんだ、これで取り返したぞこのクソ奴隷がぁああああ!!」



 △ △ △


セールスレディ「この季節の拘置所はとても寒かったです」


主人「だよなぁ。俺が手引きしてやったから早く出られたんだぞ。感謝しろ、これにこりたらもうアホなことするなよ」


セールスレディ「はい、さすがに私も反省しました……拘置所の中で寒さに震えながら、今までのことを悔やむばかりです。そしてこの経験を生かしてこれからを切り開いていこうと」


主人「うんうん」


セールスレディ「ゆえに新製品を思いつきました! 釘バットにガソリンを染み込ませて着火、燃える炎で相手をぶん殴る燃焼型釘バット、商品名は『レーヴァテイン』! これなら寒い季節も暖かい!」


主人「やだ根本的になに一つ変わってないこいつ」


セールスレディ「使い方はこう! ライターの火で|炎属性(エンチャント)|付与(ファイア)!」ボォ!


主人「なぜ俺は室内で火を使うやつばかりと出会うのか。というかやめろ俺の家燃えるからやめろバカやろう!!」


奴隷少女「ご主人様危ない! これは私が預かります!」パシッ


主人「よしそのまま外にもっていけ!」


奴隷少女「はいご主人様パス!」


主人「こっちに投げんなああああ!!」


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