第31話 慈悲を乞う奴隷の少女、主人は用法容量を守り医師の診断の元に罰を下す
静寂と、消毒薬の匂い。白を基調とした部屋の中で、二人は向かい合う。
男の表情には、焦りと不安があった。
???「……先生、本当のことを言ってください。俺は先生を医者の中で一番信頼してるんです」
医者「だがなぁ……」
???「自分の体だから自分のことはよくわかります。どういう結果を伝えられても後悔はしません……ただ治療する望みはあるのか。残された時間がどのくらいあるのか。それくらいは知りたい」
医者「しかし、これは……」
???「先生! お願いします! 本当のことを言ってください!」
医者「いやだから君はちょっと血圧と尿酸値高いくらいでめっちゃ健康だよ?」
主人「んなわけねぇだろ! こっちはエベレストから落とされたり生身で大気圏突入してんだぞ! ファラリスの雄牛で焼かれかけたりコンクリートで高圧電線で感電したらなんか問題とかあるだろ! しっかり観ろよ!」
医者「いやだから普通はその時点で死ぬから僕の診断必要無くなるんだよねぇ……なんで君それで健康なの?」
主人「うるせぇな俺が知るか! あんたそれでも医者か!?」
医者「人間か怪しいやつに言われたくないなぁ……」
主人「俺だって必死に受け身や|消力(シャオリー)や五点着地法でギリギリを耐えたんだ! なんか内臓とかダメージありそうだろ!?」
医者「受け身や五点着地法で大気圏突入を凌げる時点で内臓にダメージとかのレベルじゃないしダメじゃないかちゃんと死んでないと……せめてビームシールド貼れよ」
主人「うるせぇガンオタ! こんなやぶ医者もう来るか! クロスボーンなんか一生アニメ化しねーよ!」
医者「は? バカうるせぇクロスボーンアニメ化するわ! 逆襲のギガンティスも余裕でアニメになるわクソが! そっちこそ二度と来るな! 機体はそのままマスドライバー支えて死ね!」
主人「そっちこそミンチより酷くなって死ね!」
△ △ △
奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」
華奢な少女の声が、悲痛に響く。
主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」
肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。
奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」
少女の頬は涙で塗れていた。泥で汚れた古いメイド服。
主人「よくも俺の愛用圧力鍋にパチンコ玉と火薬を詰め込んで加熱してくれたな!! 『お、なんか料理してんの?』と思って近づいたら爆発してヒドい目にあったわ!」
奴隷少女「申し訳ありませんご主人様! もう二度と致しませんのでお許しください! ……おっかしーなーちゃんと死ぬように計算して作ったんだけど……」
主人「たまたま胸に京極夏彦の姑獲鳥の夏を入れてたから間一髪助かったわ!」
奴隷少女「憑き物落としシリーズが胸ポケットに入るとかどんな構造の服着てたんですかご主人様……? ていうか散弾じゃ意味ないし……」
主人「うるせぇなそんなことよりお前に罰を与えるほうが先だこのテロ奴隷が! 今度こそ後悔と痛みで思い知らせてやる!」
△ △ △
主人「はいまたまた椅子に縛り付けるー」
奴隷少女「はいまたまた縛り付けられるー」
主人「はい熱々おでんー」
奴隷少女「もーまたおでんで白米食えですかー」
主人「いや」
主人「ダチョウ倶楽部方式でいく」
奴隷少女「え」
主人「はいこんにゃく食えー」ピト
奴隷少女「アツアツアツッッ!! 顔に押し付けて!?」
主人「はい玉子な!」ピト
奴隷少女「アツいアツいやめてちょ!?」
主人「おっとうっかり手が滑って辛子が鼻に」ピト
奴隷少女「あああああああ!?」
主人「どうだおいしいおでんだろう! しっかり食べて反省しろこのクソ奴隷がぁ!」
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