第50話 慈悲を乞う奴隷の少女、主人は柔らかめに罰を降す
奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」
華奢な少女の声が、悲痛に響く。
主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」
肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。
奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」
少女の頬は涙で塗れていた。泥で汚れた古いメイド服。
主人「なにがお慈悲をだこのクソ奴隷めっ!! 俺が何に怒っているのかわかってるんだろうな!」
奴隷少女「ご主人様はこの世の中の不条理に泣いている全ての弱者のために怒っているのですね!」
主人「そんなに
奴隷少女「ええと、ご主人様が「最近なんかトイレの電熱便座があんまり温かくない。もう買い替えかなぁ」と仰っていたので」
主人「うん」
奴隷少女「ご主人様のお尻が冷えて風邪を召しては大変だと思い便座をいそいで改造しまして」
主人「うん、それで」
奴隷少女「500度程度になるようにしました」
主人「しましたじゃねーよこの悪魔の毒毒モンスター奴隷があああ!!!!!?? 見ろよ!!! ただの便座型の焼きごてじゃねえええか!!!! 俺の尻がいきなりステーキになっちまっただろうがよおおおお!!??? 」
奴隷少女「こんがり焼けましたー!」
主人「クソがあああ!!!!! もおおお許さねぇからなぁああ!!!」
奴隷少女「そんなご主人様!? もう二度といたしませんのでお許しください!!!」
主人「何度もこんなことやられて溜まるかくそぼけぇぇぇぇ!!!!」
△ △ △
主人「えーとね、奴隷男の娘ちくわ農家鯖缶ハンター黒魔術タピオカ職人ネットアイドルユーチューバーチャンネルをいままでやって来たんだけど」
奴隷少女「はい」
主人「今回ね、新しいことやるから」
奴隷少女「こんど何やらされるんですか……ちくわ工場長からあまりお叱りがこないやつをお願いしたいんですけど」
主人「お前が仕事にあれこれ言える立場と思っているのか…… えーとなにしようかな。決めてなかったわ。うーんとね、あ、あれやるぞ。声優デビュー」
奴隷少女「え、声優ですか。わたしそんな訓練とかしたことがないんですが」
主人「知り合いのアニメ監督に口聞いて役を貰ってくるわ。それになんか下手くそな声当てて怒られろ」
奴隷少女「……」
主人「なんかよくわからんけど、顔が良くて歌上手けりゃ声優やれんじゃないの。ほら最近の声優ってそういうので売れんじゃないの」
奴隷少女「……」
主人「だからまあお前もとりあえず適当にやって見てなんか笑われるとか怒られるとか方向の罰で」
奴隷少女「声優業をッッ!!! 舐めるなッッ!!!」
主人「え」
奴隷少女「いいですかご主人様! 年間何千人も志願者がいるなかでレッスンを終えてデビューをしても多くは声優と兼業でしかやれない、それが2年3年で食えなくて更に減るんですよ、私たちがアニメでなにげなく聞いている新人声優さんたちは上澄みのさらに上澄みのそのまた上澄みです!!」
主人「え、いやなんか急に早口になるなよ気持ち悪いな」
奴隷少女「華やかに見えるだけで実際は相当な生き残りに厳しい業界なんですよ。それをそんな多少見た目と声が良ければなんとかなるだろなんていいかげんな目線で話をするのはやめくださ」
主人「いや今はお前の仕置の話だし、というか人の尻を焼いておいてなんだ、なんで声優の話しでお前がそんなキレてんだよいいかげんに」
奴隷少女「話を聞く態度ォッッ!!!!」バチィン!
主人「痛ぁいっっ!?? ぶった! いきなりぶったよこの暴力奴隷!!!?? ひどい!!」
奴隷少女「人の話を聞く態度ではなかったからです!! 言って分からない人は暴力に訴えるしかありません!!」
主人「なんだよぉもぉ……じゃあ声優の仕事はやめとくのか」
奴隷少女「いえプロの声優の方と会えるのかもしれないのでそれはやりたいです」
主人「最初からそういえよ、もおおお!!!!」
△ △ △
奴隷少女「ご主人様お許し下さい!」
華奢な少女の声が、悲痛に響く。
主人「いいや許さんぞこのゴミ奴隷が!」
肥満体の中年は、その光景に怒号を飛ばす。
奴隷少女「どうか、どうかお慈悲を!」
少女の頬は涙で塗れていた。泥で汚れた古いメイド服。
主人「……おい、お前、俺のXのアカウント乗っ取ったよね?」
奴隷少女「はい、会長直々にやってる企業広報アカウントのクセに8年やっててもフォロワーが200くらいしかないゴミみたいなアカウントでした」
主人「俺の8年間をゴミ扱いするなクソ奴隷……それでどうした?」
奴隷少女「なんかおっさんの昼飯とか散歩してる風景とかクッソつまんない画像ばっか上げてて全く反応がなくて可哀想だったので」
主人「うるせぇなほっとけよ」
奴隷少女「なにかフォロワーを増やして有名にしてあげたいな!と思ってどうすべきか考えたんですが、よく犬とか猫の可愛い動画や画像上げるとすぐフォロワー増えるじゃないですか。だから私もそういうやつでいこうかと」
主人「そっかーそういうこと考えてたのかー」
奴隷少女「でも犬や猫だと他と被るんで独自性を出すためにいろんな馬の交尾動画を1時間に1回ツィートするように設定してですね」
主人「馬鹿じゃねぇーの!!!!! バーカ!!! バーカ!!! 馬に蹴られろ!!!」
奴隷少女「あ、今のは馬とかけた発言ですか?」
主人「ちげえええよ!!お前のイカレぶりを一言に纏めただけだよ!!!」
奴隷少女「でも何回もバズって2万フォロワー達成しましたよ。ほらこんなに海外のフォロワーが!」
主人「牧場関係者でもないのに馬の交尾みてフォローしてくるやつが大量にいても恐怖なだけだ!!!! これな! 企業アカウントなんだぞ! 取引先も見てんだからな!!」
奴隷少女「馬好きの方増えてますからアピールになりますよね!」
主人「この流れ知らずに取り引き先に「ウマ娘ずっと流行ってますよねー自分も競馬とか好きなんですよー」って話題作りに話しかけたらすげー顔されたからな!! 犯罪者を見る目だよ!! もう関係おしまいだよ!!!」
奴隷少女「なかなか人付き合いはウマくいかないものですね! 馬だけに!」
主人「だからうるせぇんだよこの放射性廃棄物奴隷がよおおお!!!!仕置してわからせてやるらぁああ!!!」
△ △ △
主人「はいというわけでいままでお前が家の近くに買い物に行く時は電動自転車を使わせていましたが」
奴隷少女「はい」
主人「罰として一輪車にします」
奴隷少女「の、乗れませんよぉ……」
主人「うるせえ手伝ってやるからしっかり練習しろ、お前は今から一輪車漕ぎながらコンビニ袋ぶら下げて走る中国雑技団奴隷だボケェ!」
主人「おのれこのクソ奴隷がぁ!」奴隷少女「ああ、お許し下さいご主人様!」 上屋/パイルバンカー串山 @Kamiy-Kushiyama
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