概要
大勢とは異質な人間が現れたときに、周りが批判や排除をするのは簡単。
だけど、その当の本人は、どうすればいいのか?
おそらく、人と人の間で起こった問題は、結局、人と人の間で解決しなければならないのでしょう。
この小説は、人知れず普通に暮らしている普通の男の、普通のエピソードと、普通じゃない倒錯のお話です。
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!抱えきれない哀しみと共に。
ショパンの夜想曲。軽快なCMのイメージだったその曲は、この物語に出会って印象を変えた。
抱えきれない哀しみが、夜の静寂に響く。
罪だと戒めても、消えることは無い疼き。
甦る過去と現実の狭間で。
欲望と理性に踏みにじられて。
自身の性癖に苦しみ、追い詰められる主人公の明夫。彼が石積職人であることは、何かの暗示のように思われた。
必死に積み上げた日々が、いつしか歪み、崩壊していくこともある。
何故、このようにしか生きられないのか。
この先に未来はあるのか。
答は夜の中に閉ざされる。
それでも明夫は目の前の日々を生きる。
重い石を、一つずつ積み上げるように。
押し殺してきた心が牙を向く時…続きを読む - ★★★ Excellent!!!子供時代の傷、性癖の悩み、職人として生きながら
石積み職人の主人公。
子供時代に嫌な経験をして、逃げるように現在にまで生きてきました。
楽しみは移動の車の中で聞くラジオ番組。
お気に入りのパーソナリティーがいます。
姪っ子にせがまれ夏祭りへ出かけ
そこで嫌な経験の張本人に再会、やけに馴れ馴れしい。
足の悪いような歩き方、事故の後遺症。
失明した息子と一緒でした。
主人公の性癖の問題もあり
といっても冷静で客観的でもあるため
問題を起したことはなく、でもいつかと怖れをいだいています。
わかりやすくパッパッとは展開していきませんけれど
文学の雰囲気の文章で徐々に進んでゆく様は
読者に主人公と同じ時間を感じさせるようなところがあります。
…続きを読む - ★★ Very Good!!他人には知り得ない秘密、心の傷、家庭の事情…人は隠し通して生きている。
子どもの頃に虐めを受けると、心の中に爆弾を抱える。子供心に爆弾は着火させない。何故なら、爆発してしまうと周囲に飛び散るのを知っている。
親との確執がありながらも老々介護を強いられる世代。潜在的に社会的責任感を抱く。本当は逃避してしまいたい!と思う日もあるのだが。
LGBTに象徴される性癖。何でもオープンに発信出来る世の中になった。しかし、黙秘しなければならない。本能的に大和魂はそうさせる。
家庭内のさまざまな問題、離婚やDV、家庭内別居や不倫…。一瞬、何処かで歯車が狂う。けれど完全修復に努力はせず、未来ばかりを見詰める現代人。
さまざまな現代社会の問題・課題を、主人公の子ども時…続きを読む