子供時代の傷、性癖の悩み、職人として生きながら

石積み職人の主人公。
子供時代に嫌な経験をして、逃げるように現在にまで生きてきました。
楽しみは移動の車の中で聞くラジオ番組。
お気に入りのパーソナリティーがいます。

姪っ子にせがまれ夏祭りへ出かけ
そこで嫌な経験の張本人に再会、やけに馴れ馴れしい。
足の悪いような歩き方、事故の後遺症。
失明した息子と一緒でした。

主人公の性癖の問題もあり
といっても冷静で客観的でもあるため
問題を起したことはなく、でもいつかと怖れをいだいています。

わかりやすくパッパッとは展開していきませんけれど
文学の雰囲気の文章で徐々に進んでゆく様は
読者に主人公と同じ時間を感じさせるようなところがあります。

ラスト、
登場人物たちが抱えた問題に前向きに取り組もうとしはじめるところが
よい終わり方だと思いました。
エンタメで楽しませようという小説ではありませんけれど
読みながら考えたいという人の読書には向いています。

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