概要
国王陛下に命を救われ、キューアン家の使用人となった「青い目」の孤児バライシュ。
ふたりはかつて親友であり、兄弟であり、主従であった。
しかし大人になったバライシュは王家に叛旗を翻し、将軍となったシシーバと戦い相討ちになる。
なぜ彼らは殺し合わねばならなかったのか?
歴史の闇に葬られた真実を解き明かす東洋風ハイファンタジー。
【関連作品】
外伝集 暁天/払暁Ⅰ https://kakuyomu.jp/works/16816700427428297411
こちらの本編読了後にお楽しみください。
隠者は払暁に眠る https://kakuyomu.jp/works/16817330647857032719
「暁天の双星」か
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!歴史はだれのものか?
歴史はだれのものか、私はもしこの本の「著者」であるターミ・ポアットに直接聞く機会があるなら、訊ねてみたいと思っている。
大国に囲まれ、しかし海沿いにあって貿易は盛んであることから比較的経済的には富んだ国……「ニアーダ王国」の国家運営が、非常にきわどいものであったことは、想像に難くない。
「暁天の双星」は、その架空の国、ニアーダ王国が、国王の代替わりを契機として、きわどい均衡外交から対外戦争を経て大国の属国として命脈を保つようになる、時代の劃期に起こった「事変」の真相を描いている。
この物語の面白さは、鮮やかに浮かび上がるキャラクターの魅力もさることながら、普通なら、王位を簒奪された王子…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ただ幸せになって欲しかった。それを伝えるには近すぎて遠すぎたふたり。
全編を通して、洗練された美しい文章で丹念に織り上げられた物語、という印象を受けました。
主人公は武官の名家の嫡男と、縁あって彼と兄弟同然に育った元孤児の男性で、ふたりはとても仲が良い……良かったのに、周囲を取り巻く人間や環境の変化に翻弄されて、だんだんと距離が離れていく。
まるでコインの表と裏のように、どちらかが光を受けるとき、もう片方には陰が落ちる。
そんなふたりの短くも激動の人生を、後世の歴史家による小説という体裁で綴った、いわゆる大河物語です。
特筆すべきは世界観の丁寧な描写でしょうか。
他はヨーロッパ調の舞台が多い中、ちょっと珍しい部類です。インドのような、タイのような、ときどき…続きを読む - ★★★ Excellent!!!名もなき人々に至るまで、人間の息遣いを感じる作品
初めに1ページだけ目を通し、これは細切れに読みたくないと思って時間を取れる機会をうかがっていたのですが、今日ようやく拝読することができました。
全ての人、それはネームドキャラクターに限らずこの作品が描き出すコミュニティに属するあらゆる名もなき人も含めてですが、その全員にそれぞれ守りたいものがあり、暮らしがある、そんな息遣いを感じました。
そしてそれが故にままならぬすれ違いがあり、だからこそ交わされた短い会話が救いに見えたりする、歴史は人の交わりの積み重ねなのだという思いを強くしました。
この作品を世に出してくれた作者さんと、この作品に出会えた幸運に感謝しています。本当にありがとうございました。 - ★★★ Excellent!!!伝わる歴史が正しいとは限らない。それは現実にも言える事。
実の兄弟のように仲が良かった二人の少年が、道を違えた事から、運命が転がり落ちてゆく様を、第三者の解釈として描いている作品。
ジャンルこそファンタジーに分類されていますが、この作品はまさしく、ひとつの歴史小説と言っても良いと言えるほどに、「本当にこんな歴史が世界のどこかであったのではないか」と思わせる説得力を持っています。
皆、それぞれの想いがあって、それが噛み合わなかった故に色々とあるのですが、それが「片方から見た善が悪かも知れない。その逆も然り」「一人の視点が全てではない」という、現実にも根差した事を伝えてくれて、次はどうなるの? どうしてこうなったの? と、続きを読む手が止まりませんでし…続きを読む