二人の少年の生涯を描く圧倒的に美しく、切ない大河ファンタジー大作

あらゆる描写が本当に美しく、世界観に惹き込まれて読みました。

幼少期に出会った身分の高い家の息子と、先王に拾われた少年二人が兄弟のように過ごし、切磋琢磨する日々を丁寧に描き出した後、身分の差が災いして離れ離れになり、それぞれがそれぞれに妻子や命を捧げたい相手など、お互い以外に大事な人を見つけます。
その過程を本当に丁寧に描いていて、どっぷり物語の世界観・沼に惹き込んだ後、最後はやっぱり二人の物語に戻ってくる、という物語の美しさがとても刺さりました。

二人の少年の周りを取り巻く登場人物たちも皆それぞれに人生があって、それぞれの生き方、感情の描写に作者様の登場人物たちへの愛情を感じました。

作中では歴史学の教授が歴史を考察するという形によって、二人の青年をとりまく物語が始まります。エピローグでその歴史学の教授に対して、「貴女の著作だとこの人物は悪者として描かれているが、果たして本当にそうか?」という意見をもらう描写が個人的にはとても好きです。

美しい文章と作りこまれた世界観、登場人物それぞれの生き方、幼少期に出会った二人の少年の人生と互いへの感情にぐっと惹き込まれ、夢中で読みました。ラストのシシーバの選択が本当にたまらなくて、読んでよかったなと熱くなりました。

こういう大作が読めるカクヨムってやっぱりすごいな、と本好きとしてヨムの楽しさを改めて感じたお話でした。書籍化されるのを楽しみにしています。

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