暁天の双星

作者 泡野瑤子

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★★★ Excellent!!!

初めに1ページだけ目を通し、これは細切れに読みたくないと思って時間を取れる機会をうかがっていたのですが、今日ようやく拝読することができました。
全ての人、それはネームドキャラクターに限らずこの作品が描き出すコミュニティに属するあらゆる名もなき人も含めてですが、その全員にそれぞれ守りたいものがあり、暮らしがある、そんな息遣いを感じました。
そしてそれが故にままならぬすれ違いがあり、だからこそ交わされた短い会話が救いに見えたりする、歴史は人の交わりの積み重ねなのだという思いを強くしました。
この作品を世に出してくれた作者さんと、この作品に出会えた幸運に感謝しています。本当にありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

たくさんのドラマや異説を抱えるからこそ、古今東西でずっと創作のモチーフとしてあり続ける歴史上の偉人たち。
彼らは数々の創作物はもちろん、実際の歴史上の記録などが残っているからこそ、大河ドラマ等に出て来ても「どうせ○○して死ぬんでしょう」と受け手側も思ってしまいがちな部分が少なからず、あります。
けれども生まれてはじめてその人物に触れたときには、「この人は何をするのか?」「生きて何を成し遂げるのか?」というワクワク感が、少なからずあったはずなのです。

この『暁天の双星』は、そのワクワク感を再体験できる貴重な小説であると思います。

虚構の歴史であるからこそ、誰にも具体的な結末はわからないし、誰がどんな道筋を辿るのかもわからない。
大人になるとなかなか得ることのできないあの高揚感が、ここには確かに存在しています。

一度でも歴史小説や伝記物に触れて、「おっ」と思ったことのある方でしたら、ファンタジーものだからと毛嫌いせずに是非読んで欲しいです!

★★★ Excellent!!!

実の兄弟のように仲が良かった二人の少年が、道を違えた事から、運命が転がり落ちてゆく様を、第三者の解釈として描いている作品。
ジャンルこそファンタジーに分類されていますが、この作品はまさしく、ひとつの歴史小説と言っても良いと言えるほどに、「本当にこんな歴史が世界のどこかであったのではないか」と思わせる説得力を持っています。
皆、それぞれの想いがあって、それが噛み合わなかった故に色々とあるのですが、それが「片方から見た善が悪かも知れない。その逆も然り」「一人の視点が全てではない」という、現実にも根差した事を伝えてくれて、次はどうなるの? どうしてこうなったの? と、続きを読む手が止まりませんでした。