概要
天野川蛍と名乗る彼女はいきなり礼を叱りつけ、激励し、礼が密かに抱く真宮天華への恋心を応援すると言う。
蛍の魂胆が分からず困惑する礼。
そんな礼の幼馴染、小笠原由依もまた蛍と接触し、やがて蛍の秘密に迫っていく。
運命を変える物語が今動き出す。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!数えきれないほどの『ありがとう』にあふれた物語
高校生の男女によって語られる、彼らの素直な気持ち。葛藤、不安。決意。
時にぶつかりあい、ときに励ましあいながら、すべてが「誰かを思う気持ち」に昇華されていきます。
じっくり、少しずつ拝読いたしました。
いつどのページを開いても、そこには若々しい少年少女のまっすぐな気持ちがありました。
誰かのために、動きたい。持てる力を注ぎこみたい。
これほど直球で心を動かされるテーマが、他にあるでしょうか。
「ありがとう」という言葉の力を、改めて考えさせてくれる良作です。
私も、「こんな素敵なお話を読ませてくださって、ありがとうございます」と伝えたいと思います。 - ★★★ Excellent!!!あなたに贈る心からの気持ち
本格的に進路を考えなければいけない時期なのに、やりたい事も見つからず、何かに必至になる事も無い、高校生の礼。似たような経験をした方も多いのではないでしょうか?
しかしそんな礼の元に天野川蛍と名乗る少女がやってきてはそれを𠮟りつけます。
最初はそんな彼女に翻弄され、更には礼が想いをよせる相手、真宮天華も絡んできて、事態は思わぬ方向へと転がり始めます。
一人一人の心情がとても繊細に描かれていて、先にあげた礼の無気力感や、天華が周りに対して感じている壁、ホタルの抱えている事情など、時に切なく、時に苦しく、全ての登場人物に対して共感を抱くことが出来ました。
そして何より、タイトルにもなっている…続きを読む - ★★★ Excellent!!!たくさんの『ありがとう』が詰まった作品
この物語の成瀬礼。将来やるべき事が見つかっていなくて、好きな女の子はいるけど、何か行動を起こすわけでもない。彼はそんなどこにでもいる、普通の男子高校生です。
しかし、ある日彼の前に現れた天野川蛍という女の子。彼女との出会いから、運命の歯車は回り始めます。
この天野川蛍、好きな相手と仲良くなるよう後押ししたり、きちんと勉強するよう口やかましく言ってきたりと、何かと礼に構うわけですが。その言動の一つ一つに『重み』を感じるのです。
些細な事で揺れて悩みも多い高校生達。天野川蛍の存在が礼やその周りの人達の心を徐々に変えていく。
いったい彼女は何者で、何をそんなに必死になっているのか?そこには彼女…続きを読む - ★★★ Excellent!!!高校生のころの自分に読ませたい
作品全体を通じてひしひしと伝わってくるのは、高校生の頃の将来の進路に対する漠然とした焦燥感です。
なぜ、これほどまでに胸に迫ってくるものがあるのでしょうか?
その理由の一つに、以下が挙げられるでしょう。
高校生を主題に物語を描く場合、その生活の一面(大抵は部活もしくは恋愛と相場は決まっておりますが)を切り取って、面白い部分だけを抽出してお話を作っている場合が多いです。
しかし本作では、恋愛、友情、勉強、進路、家庭の事情など、彼らの生活のすべてを余すところなく描き切っています。
様々なファクターを通すことによって、そのたびに登場人物の人間性が浮かび上がり、キャラクターとしての強度が上がります…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これがあなたに「ありがとう」を伝えられる最後だから
とても綺麗な言葉で全てが丁寧に綴られた、限りなく現代ドラマに近い、心揺さぶられるファンタジー作品。
タイトルに、この作品の全てが詰まっていると言っても過言ではありません。
将来の夢も特に無く、毎日適当に生きていた主人公の前に、突然現れた謎の美少女により、登場人物それぞれの運命が大きく変わっていく。
それが恋愛を主軸に、とても読みやすい文章で、主要人物の現在・過去・未来を詳細に描きながら物語は進んでいきます。
これら情景描写、心理描写が、本作では一貫してとにかく丁寧で、現実味に溢れている。それゆえ、登場人物全員に共感でき、時に切なく、時に苦しくもなりながら、自然と次が気になり読み進めてしま…続きを読む