概要
一つ年上の縁藤優佳(えんどうゆうか)と交際・同棲をしていた。
しかし始業式を終えて部屋に戻った諭史に待ち受けていたのは、
空っぽになった部屋と優佳からの「ごめんなさい」の書置き。
そこに駆けつけたヤンキー気質で優佳の妹、レイカ。
自分の姉の行動を見兼ねたレイカは、強制的に諭史を自分の部屋に住まわせることに。
レイカの厚意を受ける一方、諭史はその行動に疑問を寄せる。
なぜならレイカとは五年前に険悪になり、絶縁に近い状態が続いていたからだ。
一緒に暮らしていく中で少しずつ見えてくるレイカの素顔。
騒がしいギャルのクラスメート兼バイト仲間の佳河華暖(かがわかぐら)も気に掛ける中、
少しずつ、大きく変化していく日常。けれども一向に連絡のない優佳。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!不器用に空回りしようとも、離したくない人がいる
同棲していた恋人の突然の失踪という、衝撃的な展開から始まる物語。
高校生の諭史には、彼女である優佳がいなくなる理由に心当たりがなく、優佳の妹レイカも突然のことに戸惑うばかり。
けれど優佳の失踪には大きな理由があり、そこに様々な人々が絡んできて……と書くとミステリーのように思われるかもしれませんが、この物語の主軸はミステリーではありません。
登場人物一人一人が主人公であり、彼らの繊細な心の揺れを描いた、青春群像劇となっております。
メインとなる諭史の不器用な真っ直ぐさ、彼を翻弄しているように見えて本当は人知れず深く苦悩していた優佳、独りに怯えるあまり周囲を突き放して孤高をいこうとするレ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!自分の本当の気持ちは、自分でも分からない時がある。
3章までの感想です。主人公は飲食店でアルバイトをする真面目な高校生。その主人公の恋人は、ある日、突然失踪する。恋人の妹と共に生活することになった主人公は、夢と現実、恋人と妹の間で葛藤する。
大学へ進学したい。それは、恋人と同じ道を歩むため。その一方で、今の生活をこのまま送るために正社員を目指す。それは妹との現在の生活を守るため。一体、どちらが自分の本心なのか? 自分が本当にやりたいことは何なのか?
主人公の親友はアルバイト先の女性であり、主人公を翻弄しながらも、主人公を応援すると宣言する。これを受けて妹は、主人公から逃げ出す。しかし主人公はこれがきっかけで、妹と共に歩むことを決意するの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!信用と信頼関係
なんだろう、ただただ深い。そんな感じです。
テーマは信用と信頼。積み上げるのは大変だけど、ぶっ壊すのは簡単なもの。そんな不安定なものが物語の中心にあります。
1話のタイトルが「失踪」から始まり、最初は本当に大丈夫かと思いました(汗
しかし進んでいくに連れてその独特の世界観に惹かれ、気づけば最後まで読んでしまう。そんな作品です。
群像劇形式なので、それぞれのキャラクターから見た感情まで見られて、なかなか面白かったです。
強いて言えば、キャラクターが少し賢すぎるかなと。普通そんなところまで一瞬で考えないだろってところまで、彼らは考えてしまう。
(SPIテストの「分かりません」「分かりません」…続きを読む - ★★★ Excellent!!!同棲高校三年生、姉が去ったら妹が来た?青春ってもみくちゃだけどいい!?
主人公の高校三年生、諭史は、優佳と同棲までしていた。
ある日、優佳がいなくなって、書置きまであった。
どういう意味か分からない謝罪が書いてあった。
レイカという、ちょっと怖いけど中華料理が好きだったりとキャラが彫り込まれている、なんと優佳の妹が来て、てんやわんやだった。
この物語で、最初にぐさりと来たのは、別れです。
やり直すのに、どれだけの時間が必要か。
時間は湯水のようではないのです。
そして、殆どの場合、流れて行くのは、未来へです。
筆者の軽快な会話のテンポで心地よく読ませられます。
ぜひ、ご一読ください。 - ★★★ Excellent!!!互いの距離感が、互いを近づけ、遠ざける
高校生の諭史のもとから、恋人の優佳が姿を消したことから始まる青春群像劇です。
『なぜ優佳が姿を消したのか』、に端を発した物語は、過去にさかのぼり、様々な伏線を回収しながら現在に至っています。
このお話で魅力的なのは、脇を固めるキャラクター達。
タグに「群像劇」とついているだけあって、個性豊かなキャラクターが主人公の諭史を彩ります。
なかでも。
私のお気に入りは 二階堂 !
彼ほど、この物語で成長した男はいない!
いやもう。二階堂、すげぇよ、お前。
私はあんたについていくよ。
そんな風に。
貴方自身のお気に入りが必ず見つかる、キャラクター豊富なこの物語。
是非、ご一読下さい。 - ★★★ Excellent!!!まるで、水面に浮かぶ蓮の上にいるかの如く
突然の失踪と共に語られる、それぞれの人間関係。
自分自身の成長や葛藤。周りとの距離感が見事に描かれていきます。
物語りの緩急のつけ方に、心理描写が見事にマッチして読むごとに引き込まれていきます。
子供から成長し、自分という物語を描いていく中での葛藤は、読んでいて感動を覚えました。
決して穏やかなままでない水面に浮かぶ蓮の葉に、自らの居場所としてしがみつく。距離を縮めるために近づく事が、相手の蓮を揺らしてしまう。自らの蓮を育てずに、相手の蓮によりかかることで良しとする。
様々な生き方は時間と共に、一つとして前と同じではない。
それぞれがあがきつつ、自分の蓮を育て、お互いの距離を探っていく。
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