不器用に空回りしようとも、離したくない人がいる

同棲していた恋人の突然の失踪という、衝撃的な展開から始まる物語。

高校生の諭史には、彼女である優佳がいなくなる理由に心当たりがなく、優佳の妹レイカも突然のことに戸惑うばかり。

けれど優佳の失踪には大きな理由があり、そこに様々な人々が絡んできて……と書くとミステリーのように思われるかもしれませんが、この物語の主軸はミステリーではありません。

登場人物一人一人が主人公であり、彼らの繊細な心の揺れを描いた、青春群像劇となっております。

メインとなる諭史の不器用な真っ直ぐさ、彼を翻弄しているように見えて本当は人知れず深く苦悩していた優佳、独りに怯えるあまり周囲を突き放して孤高をいこうとするレイカ、軽い言動からは想像もつかないほどの芯の強さを持つ華暖、そして中学時代をともに過ごしたエーコに二階堂先輩。

皆弱くて脆くて、どうしたら良いのか自分がどうしたいのか、わからないままぶつかり、わかっていても進めず苦しむ様に共感を覚えます。

誰かが誰かを想うからこそ生まれる、心と心の擦れ合う音が聞こえるかのようなお話でした。


二階堂先輩が人気のようですが、私はレイカ推しです(笑)
彼女の孤独と苦悩に寄り添い、必死に成長していく様を見守ることができたことを、心から嬉しく思います。

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