原因不明の彼女の失踪が、僕の周りの人間関係を歪めていく

テンポの良い会話と、そこに差し挟まれる絶妙な心理描写によって描き出される、リアルな心の揺れを伴った青春群像劇です。

この物語には、主人公・諭史を取り巻くヒロインとして、失踪した恋人の妹・レイカと、同級生でありバイト仲間でもある華暖の二人が登場します。
一人になってしまった諭史を自分の家に招いて、微妙な距離感を保ちながら共同生活をするレイカと。
『親友』のポジションに気安さを感じつつも、積極的に諭史にアプローチしてくる華暖と。

だけど、諭史の心には、失踪してしまった恋人・優佳のことが常に引っかかっているのです。

彼女の失踪の理由が分からないせいで、どうにも動き出せない。
そのために、レイカや華暖、そして優佳、全方位に対して遠慮が働き、それぞれの関係性が少しずつ歪んでいくのです。
この辺りの心理描写が実に見事で、気付けばこの危うい人間ドラマにどっぷりはまり込んでいました。

登場人物も大変魅力的です。
器用貧乏な諭史の、不器用で不安定な生き方には、やきもきしつつも共感を抱きます。
ヒロインの二人はもちろんのこと、新聞部の部長や大江戸くんといった脇役まで、ただのテンプレではない個性が光っています。

コミカルなメタネタを挟みつつも、ぐっとシリアスに踏み込んできて、どうにも消化しきれない感情に心を掴まれるような物語。
ぐらぐら揺れる人間模様に、あなたも惹き込まれること間違いなし!

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