絡み合う弱さ、生きていく強さ

「ごめんなさい」のメモだけ残し、
突然同棲中の家を出て消えてしまった恋人の優佳。
主人公の諭史はいつまでも心に優佳の存在を抱えたまま、どうしたらいいのか分からない。
とりあえず待ち続けようとするも、
彼女の出ていった同棲していた部屋をどうするのか、とか、
そのままにするために勉強の時間をバイトに当ててまで家賃を払うことへ疑問を向けられ、
未来を削って優佳を待つ生活を軸にするのが本当に自分のあるべき姿なのか自問自答するなど
優柔不断な彼にも容赦なく現実が突きつけられ、きちんと悩まされていく。
そこへ、意外な落とし所として優佳の妹のレイカと同居していくのだが……。
優佳はなぜ出ていったのかという謎、レイカの過去と心、
主人公諭史の幼い頃や高校時代の過去など展開がじっくり細やかに刻まれ、
さらに同じシーンを複数の視点からなどとても丁寧に書かれていて、
奥深く楽しめるのが魅力な作品だと思います。
集中力が途切れがちな私にはこういったタイプの話は最後の方まではとても読めないのではないかと思いましたが、
でもそれでも結局読まされてしまったのは、
1話1話が読み易く面白いからだと思います。
また登場人物全ての人間味のようなものを感じながら読めるので、いろんなキャラクターに愛着がわきました。
個人的には二階堂という副会長キャラがイチオシです。

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