概要
受け入れるざくろ。無理もない、母親に奴隷のように扱われ、拒否することを知らないのだから。
母親が提示した結納金は700万円。
非合法で稼ぎのいい仕事を始め、高校を中退する決断もした。
だが、その選択は世界に害をもたらす”闇の決意”として定義され、喪失の運命を与えられてしまう。
”闇の決意”を持つ者は冥王ハデスに異能の力を付与され、能力者同士による決意を奪い合う闘争にも巻き込まれてしまう……が、剣一は二年間、勝ち続けた。
仕事も順調にこなし、目標金額も残り50万円、いまや冥王も剣一の決意成就に協力的。
だが、剣一はハデスが口にする言葉が頭から離れない。
「ヒトの心に闇は馴染まず、抱えた時点で何時か其の決意を失う」
知る
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!闇の決意に繋がれた三人の男女。ドラマチックに織り上げる豊かな心理描写。
高校生が700万円払って嫁を得る。
これだけでも何事!?と驚くような、ぶっ飛んだラブコメかと思うような設定ですが、本作はいわゆるラブコメの枠には収まりません。
冥王と契約し、「闇の決意」を保持し続けるために己が武器を手に能力バトルを繰り広げます。が、いわゆる異能バトルの枠には収まりません。
ここにあるのは、三人の少年少女の、あまりに深く、熱く、悲しく、かけがえのない、心揺さぶられる魂の叫び。
人を思う愛、自分自身と戦う葛藤。
ここまで見事に描き出された作品を、初めて読んだかもしれません。なぜ書籍化してないの?
時に心臓を抉られるような、痛みを伴う三人の慟哭から、目を離すことができません…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この作品を見ていて思うことは、「幸せになって欲しい」
タイトルの通りだあ! この作品に出てくる人たちのほぼ全員(ここ重要。そう思えない面々もいるにはいるので)に俺はそう思ったんだ! 何でかっていうと登場人物の大体が(ここも重要、そうじゃない奴もいるから)不幸なんだよ! 辛いんだよ! 苦しいんだよ! 悪いことをした奴がそうなるってんなら納得できるだろうが、善人や一般人がすごい苦労してんだよ! だったら、思うだろ!?
「幸せになってほしい」ってな!
その中でも特に幸福になって欲しいのはヒロイン(俺はそう思っている!)の茜だ! この人は何が何でも幸せになってもらわねえといけねえ! いい女で、健気で、元気で、行動的で! 他にも色々あるが、さすがにネ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幸せになれない青春の終わり。
主人公は十六歳の男子高校生。
彼の近所には、母親から虐待を受けている十四歳の少女が住んでいます。長年の虐待により、彼女は洗脳にも等しい束縛を母親から受けています。児童相談所もその他の公共機関も当てになりません。ゆえに主人公は、700万円の結納金を彼女の母親に支払うことを条件として彼女と結婚することを決意します。
しかし主人公は苦悩します――自分は700万円でヒロインを買っただけなのではないか――それは人身売買と何も変わりはないのではないかと。ましてやヒロインは、長年の虐待によって他人に従順な性格となってしまっています。つまり、ヒロインを娶ったあとは、自分が母親の代わりに彼女を束縛してしま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!異能バトル全開な純愛ストーリー
タイトルも中二的で、描かれる異能(決意)も中二心をくすぐるものばかりです。
ですが、この作品が描いているのは純愛だと思います。
主人公の黒田剣一は、近所にすむ早乙女ざくろを救うため彼女にプロポーズします。
非合法な仕事をしているのも、彼女の母親の要求する結納金を稼ぐため。
彼は、自分がざくろをいいようにしてしまったら、彼女の母親と同じになると考え、結納金支払い後は彼女を自分からも自由にすることを考えている。
同時に彼にはもうひとり大事に思っている人物、同級生茜がいます。
彼女は剣一に心寄せてくれますし、剣一としても一緒にいて心安らぐ存在ですが、ざくろのこともあり、彼女の気持ちには応えて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!与える愛と真に望む愛の狭間——闇の契約の奥に潜む、雁字搦めの人間ドラマ
14歳の少女にプロポーズするという、衝撃的なシーンで幕を開ける本作。
婚約者・ざくろを母親の虐待から救う決意をした主人公・剣一は、そのことが原因で冥王ハデスに取り憑かれてしまいます。
ハデスの目的は、ネガティブな感情に起因する人間の決意を挫くこと。
どうしてもざくろを救いたい剣一の、心身を掛けた戦いの日々が始まります。
見どころは、ハデスから異能を付与された者同士の「決意」を掛けたバトルシーンです。
迫力あるアクション描写に重ねて叩き付けられる、怒涛の如き心情描写。
ここに、人間の心理の内部まで深く抉り込む、作者さまの持ち味が素晴らしく発揮されています。
なぜ剣一はハデスに取り憑かれたの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!少年少女はこれを読め! これが「大人になる」ということだ!
第二章読了時のレビューです。
読み終えた直後の感想、
「これは埋もれてしまってはいけない作品だ。ぜひ書籍化して世に広めてほしい」
ストーリーとしては、本作のヒロインであるざくろを救うために、
主人公である剣一が同世代よりも少し早く社会に出て働こうとすると、
突如取り憑かれた冥王に決意の浄化という使命まで背負わされるという、かなりハードモードな展開。
そんな人生を歩んでいることもあり、剣一は年齢に見合わない、かなり精神的に大人な人物で、
作中で語られる人間観は綺麗事抜きの真理を突き、とても説得力を持つもので、
登場する同世代の人物たちを通して「お前たちは甘やかされ過ぎている。如何に自分が生…続きを読む - ★★★ Excellent!!!キャラクターたちが引き立つ、現代ドラマ的ファンタジー。
主人公はざくろという虐待を受けていた少女と婚約した。しかしそれと同時に膨大な「借金」を背負うことになる。しかもその「借金」が原因で、ハデスに憑かれてしまう。
ここから主人公の高校生活と闇仕事、そして家庭と実家という四重生活が始まった。この作品の魅力の一つは、何と言っても主人公の周りのキャラクターが濃いことだ。ハデスと主人公。実母。委員長なのにゲーム仲間の茜。闇仕事の仲間。そして、主人公と同じように、能力を持った様々な能力者たち。主人公に尽くすざくろ。主人公を取り巻く人々が、この物語を回していく。
主人公はざくろのために、仕事と高校生活を両立していたはずだった。しかし委員長で美少女の茜に…続きを読む