概要
そんな彼女が話してくれた“数学”の話。
あの人がいつも、どんなことを考えていて、どんな風に生きているのか。
“数学”を通して、少しだけわかった気がしたんだ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!数学が好きな人も苦手な人も
世に溢れる数学小説といえば、「素数大富豪」や「グロタンディーク素数」などの(数学好きの)内輪ネタが多く、知らない人からすれば「???」になってしまいがちです。
ところがこれはそういうのを排し、個性的なMさんとの掛け合いと丁寧に噛み砕いた数学の説明で人を惹きつける、ある意味正統派の数学小説でございます。特に抽象物の代表たる数学の諸概念を、ビジネスや図書館など日常的なものに置き換えるMさんの丁寧な説明は文系の人にも敬遠されないくらいわかりやすく、途中で数学を投げ出してしまった人にもおススメです。
「いっそ教科書にしようぜ!」とさえ思ってしまいます。
ただ、現実には数学好きの女性はあまりにも希…続きを読む - ★★★ Excellent!!!数学はやわらかくて世界を言葉にすることができる文法なのだ
Mさんの目に見える世界はきっととても豊かなんだろう、と思います。
世界のそのすばらしさを表現するために数学という文法があって、彼女は数学の言葉で世界を表現しながら生きているのでしょう。
でも主人公くんの世界は違いました。主人公くんの世界は数学的じゃない。
ただ、主人公くんはMさんが好き。Mさんの世界を理解したい。
主人公くんとMさんの世界のすり合わせが、始まった。
それは本来とても困難なことなんでしょうが、定義を噛み砕いた説明したり、ものにたとえたりして、二人は一生懸命近づいていきます。
互いを理解するために、話し合う、ということ。
一歩ずつ、手探りで、相手のことを理解しようとすること。
こ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!数学×恋 誰か解けますか?
数学に苦手意識のある人、問題文を読んだだけでへき地に遁走したくなる人、証明せよ、を文末に認めた瞬間地球を脱走したくなる人。
そんな人におすすめです。
私は数学が苦手すぎて、文系向け、子供向けに書かれた数学や算数の入門書をいくつか読んだこともありました。数学ガールは数式が増えてきたあたりで挫折して、「もっとストーリー性をください」と思ったし、数の悪魔は「最後に近づくにつれて抽象度が高くなってわからないけど悪魔とぼくの別離の物語として読んだら泣けた」し、あと子供向けの算数の歴史とか、人気のある本を手当たり次第に読み漁ってみたんですけど、よくわかんなかったですね。
でもこちらの物語はとてもわ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!俺の彼女が数学スイッチ入って語り出すと可愛いからちょっと注目してくれ
作品紹介の前に妙ちくりんな話をすることを容赦されたい。
「数学的な」人物とはどんな感じか、ちょっとした私見を。
どこの大学でもそうだと思うが、理学部には変人が集まる。
中でも、選りすぐりのぶっ飛んだ変人がいるのが数学科だ。
※我が母校の校風として「変人」は好意的な誉め言葉
(関西人が愛情を込めて言う「アホ」みたいな感じ)
初対面で一番目の質問が「好きな素数は?」だったりとか、
考え事に没頭して服を着ずに外出した教授がいたりとか。
要約するに、一途で純粋でまっすぐすぎるがゆえの変人で、
子供みたいで可愛いタイプの人が多い、という印象がある。
私の知る理学部数学科の可愛い変人たちは、残念な…続きを読む