数学はやわらかくて世界を言葉にすることができる文法なのだ

Mさんの目に見える世界はきっととても豊かなんだろう、と思います。
世界のそのすばらしさを表現するために数学という文法があって、彼女は数学の言葉で世界を表現しながら生きているのでしょう。
でも主人公くんの世界は違いました。主人公くんの世界は数学的じゃない。
ただ、主人公くんはMさんが好き。Mさんの世界を理解したい。
主人公くんとMさんの世界のすり合わせが、始まった。
それは本来とても困難なことなんでしょうが、定義を噛み砕いた説明したり、ものにたとえたりして、二人は一生懸命近づいていきます。
互いを理解するために、話し合う、ということ。
一歩ずつ、手探りで、相手のことを理解しようとすること。
ここはとても優しい世界です。
公理は少しずつ変わっていきます。二人が優しいからです。
世界のすべてがこうであったら学問の世界はもっと豊かになるのにな、と思いつつ、毎度ほっこりしながら拝読しています。

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