第41話 説教

「もう、なんで逃げたんですか?」

「いやー、なんか、俺いなくてもいい感じがしましてね。それで、なら逃げようと」

「そうですか。確かに近藤君を呼んでいるのに、ほったらかしにしたのは、謝りますけど。でも、如何にも、もうここに居たくないって顔で、走って行くのは、どうかと思います」

「え?そうなの?俺そんな顔してた?」

「はい、してました」

まじかー、なんか、俺って心の底からこの状況嫌がっていたんだ。

「あ、で、なんで、俺は、百瀬に呼ばれたわけ?」

「そうでしたね、まだ言ってませんでした。私が、近藤君を呼んだ理由は、文化祭で、私と一緒に、監査委員会代表 冠査幹夫かんさみきおさんと会ってもらいたいとのことを言うためです」

「ん?それだけ?」

「はい、それだけです」

へえー、そうなんだ。そんなことならこんな強引に連れて来なくてもいいなーと僕思いますよ?絶対百瀬には、言わないけどな!

だから、なんで、強引な手を使って俺を連れてきたのかが無性に知りたくなった。

「じゃあ、なんで、あのフェルトちゃん?って子の周りの人で俺を連れてきたわけ?」

「それはー、言いにくいのですが、今朝その冠査幹夫さんから、異性と来るようにと言われまして、そして、その連れて来る異性を今日中に選べって言ってきたんです!!」

「?それで、なんで俺なの?だって、もし、異性を連れてこいだけなら、俺じゃなくたって、他の人でもいいと思うけど?」

「ふふ、これは、自慢じゃないですけど、私異性に友達とか、近藤君しかいませんから!」

「へー、百瀬って、異性の友達俺以外いないんだ。なんか、意外だな」

「そうですか?」

「うん、なんか、こうすぐにできそうって感じだし、それに可愛いし、まあ、なんにせよ、今から、クラスの男子にでも、『実はね、文化祭の時、一緒に行って欲しいの?ダメ?』とか言っとけば、どうにか、なると思うけどね。それに、百瀬は、俺のこと嫌いなんだろ?」

「はい」

いやー、自分で百瀬は、俺のこと嫌いなんだろ?とか聞いといて、その返事が『はい』だと、わかっていても悲しいな。

「じゃあ、嫌いな俺よりも、そうやって、やった方がいいと思うぞ」

よし!これで、俺は、厄介なことをやらずの済むぞ。

「あのー、すごくいいにくいですけど、その冠査幹夫さんがこんな事を言ってきたんですよ。『さっきは、異性っていたが、少し訂正がある。清流高校の生徒会長は、今男子なんだろ、じゃあ、そいつを連れて来い』と」

「は、はぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!」

俺は、全力で叫んだ。


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