第10話 帰りが遅いと妹が……

帰り道。いつもは、一人寂しく帰っているのだけれど、今日は違った。

あの、ちょっとした。神崎眩からすれば大事件のあと。俺は、生徒会について、いろいろなことを教えてもらい。そのついでに一緒に帰ろうとなって一緒に帰っている次第である。

「そういえばさ、なんで会長は昌幸君を生徒会長に選んだの?」

「それは、よくわかんないですけど。俺が聞いた時は、君のことが好きだからとか言ってた気がします」

「ふーん」

「あ、そうだ。眩さんは、俺が生徒会長になってどう思っています?」

「眩でいいよ」

「でも、一様は先輩なわけですし」

「生徒会に入ったのなら、さんづけはしない!これが暗黙の了解」

「そうなんですか」

「で、昌幸君が生徒会長になってどう思うかだっけ?」

「はい」

「今日あったばかりだから、全然わかんないけど、でも、私の隠している面も見られてしまったから・・・・・ま、いいと思うよ」

「そうですか。そういえば、眩って、お菓子を食べている時って、幼くなるよね」

「そ、その話はいい!っていうかそのこと誰に言ったらどうなるかは・・・・・」

「分かっています」

「なら、いい」

「じゃあ、俺はここなんで、さようなら。眩」

「うん。じゃあね、昌幸君」

眩は、笑顔でこっちに手を振ってくれた。

俺は、こんな毎日もいいなーと思った。

でも、家について、そんなこと思わなければよかった思ってしまうなんて、全くもって思っていなかった。

そして、俺は、家の扉に手を掛けた。


「んー、今日お兄ちゃんの帰りが遅い。というより、遅すぎる!これは、なにかある。あるに違いない」

だから、私は、家の扉に手を掛けた。


家の扉に手を掛けたはいいが、扉が開かない。何度引いても空くことはない。

これは、鍵を閉められてしまったということなのだろうか。なら、仕方ない。どこかの公園に

「ん?公園がどうしたのお兄ちゃん?」

と、まるで、今から、冷酷な、それでいて、とても、寒気を感じる目でこっちを見てきていた。


扉に手を掛けたはいいものの、扉が開かないのだ。これは、とても、おかしいことだ。何度押しても開かない。もしかして、扉が壊れてしまったのでは、と思った私であったが、最後の挑戦だと思い、扉を押した。今度は、しっかりと開いた。

そして、開いた先には、お兄ちゃんの姿はあった。お兄ちゃんは、どこかの公園と言っていた。だから、私は、

「ん?公園がどうしたのお兄ちゃん?」

と聞いた。それを聞いた途端お兄ちゃんは、顔を蒼白にして、まるで死んだ魚のようであった。


リビングにて。

俺は、妹様から、説教を受けている。

今日の帰りがだいぶおそくなってしまったことに。俺は、生徒会長になったから!としっかりと、眩に告白されたことを除いて、なにも包み隠さずに言ったにもかかわらず、妹は、断固として俺の言い分を聞いてくれない。

その一緒に帰ってきたって子ことがお兄ちゃんは好きじゃないかって。

「で、どうなの?その、眩さんだっけ。お兄ちゃんは、どう思っているの?」

妹は、目のハイライトを消してそう聞いてくるので、とても、怖い。

「だから、さっきから言っているだろ。眩は、先輩だから、それに俺じゃあ、到底叶いようのない、雲の上の人だから」

「ふーん、。そのわりには、眩って下の名前で、先輩のはずなのに馴れ馴れしくしているのは、なんでなのかなー?」

「そ、それは、今日生徒会は、下の名前で呼び会うのが暗黙の了解って言われたからだよ」

「そう。暗黙の了解ね。でも、それは、生徒会の仕事の時であって、別に今、そんなふうに生徒会の暗黙の了解を守らなくてもいいんじゃないかな?お兄ちゃん」

「う、そ、それは・・・・・・・・・・」

「ま、いいけ、お兄ちゃんが誰のことを好きなろうがならまいが、結局彼女に、お嫁さんになるのは、この私のわけだしね」

「ということは、もう、今回のことは許してくれたのでしょうか?」

「今度、私とデートするってことで許してあげる」

「ん?」

「ってことで、今度の日曜日に私をエスコートしてもらうから」

「はい?」





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