第14話 やはり 、俺が生徒会長になったのは間違っていた。

時は流れ、夏休み。

俺は今、食事会にきている。一人で。その食事会は、あくまでも、学校の生徒会長として。

はあ、でもやっぱり、乗り気にはなれないな……なんたって、あんな有名人や、あの人までくるんだぜ。それに、学校の理事長まで来るらしいし。っは!これは、もしかして、嗄騨先輩は、これに参加したくなかったから、アメリカに行って、俺を生徒会長にしたのか!……まあ、そんなわけないか。

ってかやっぱり、俺が生徒会長になったのは間違っていた気がしてならない。

そして、食事会場。

すごく賑やかでとても楽しそうな雰囲気であった。あと、会場にいる人全員がとても、綺麗なドレスをきたり、ピシッとタキシードを着ていたりして、制服の俺だけ浮いている気分であった。

「清流高校の生徒会長さんですか?」

「え?あ、はい。なんでしょうか?」

話かけてきた人は、とても、長身で、とても顔が小さくて、綺麗な人だった。

「いえ、唯清流高校の生徒会長は女性と聞いていたしたもので」

「あ、そのことについてですか。それは、嗄騨生徒会長がアメリカに留学することになって、その代わりに僕が生徒会長になりました」

「あら、そんなことがあったの。じゃあ、貴方も難儀ねー。いきなり生徒会長になって、こんなパーティーに参加するなんて」

「いえ、確かにこのようなパーティーに参加するのは、すこし、僕には荷が重いとは思いますけど、このようなパーティーに参加できることなんてそうそうないので、今は、このパーティーを楽しもうとしていますよ」

この言葉は、最初は、乗り気になれなかった俺だったけれども、でも、パーティーが始まって、この女人と話して思った、俺の本心でもあった。

それからも、順調にパーティーは進み、その間いろいろな人から、なんで清流高校の生徒会長が男性なの?と散々聞かれた。

そして、最後のエンディングに入る。

そして、なんと、最後の挨拶が清流高校理事長、定藤治さだとうおさむ であった。

「本日は、このような、食事パーティーに招待して頂きありがとうございます──

それからも、理事長の話は続く。

そして、遂に最後の言葉になっていた。

──そして、最後に清流高校生徒会長近藤昌幸君より、今の清流高校をどう思っているか聞いてみたいと思います」

え?嘘……俺そんな話聞いてないよ?あ、でも、さっきのちょっと厳つい男の人に清流高校の理事長が最後の言葉を言うとは、君も難儀だな。と。聞いた時は、なんで、理事長が最後の言葉を言うと俺が難儀になるのかわかんなかったけど。うん。今わかった!つまり、清流高校生徒会長になると、清流高校理事長が最後の挨拶をした時は、清流高校についてどう思っているか、言わないといけないと。

ど、どどどどいしよーーーーう!!!

なんにも考えてないよ!ていうか、なにその清流高校について、どう思っていますか?とか、なに、とても、挨拶が積極的にできる高校とでも、言えばいいの⁉ねえ、誰か、僕に教えて!

「では、昌幸君、こちらへ」

「はい」

壇上に立つと、周りを見渡せば、多くの人の視線がこちらに向けられていた。

「じゃあ、どう思っているか、聞かせてくれるかな?」

「はい。僕は、清流高校を──

やっぱり、なにも、思い付かない。なにを言えばいいのかわかんない。なにを言えば正解で、なにを言って失敗なのか、それとも正解も失敗もないのかもしれない。でも、これは、正解も失敗ないと思って、そして、俺が言ったことがになると信じて、俺は言った。

──とても、挨拶ができて、それでいて、とても、元気がよくて、でも、しっかりとメリハリが、あって。そして──

俺は、一年生で経験したこと、体育祭、学園祭。その他にもいろいろな学校行事。それらに全て関係していたもの、それは地元だった。

地元を大事にし、そして、地元のことが好きな清流高校の生徒みんな。だから、俺は言った。

──清流高校の生徒たちは、を大切にしていると思いますよ。それは、ひとえに、学園祭をとっても。生徒は、とても、自主的に、地元の方々と接し、清流高校の学園祭を地元の人たちと共に、作り上げていました。だから、僕が清流高校をどう思うか、それは、地元愛が強い、とてもいい高校だと思います」

俺は、言い切った。清流高校をどう思っているのかを。

周りの反応は……沈黙していた。

その沈黙が、俺は、怖くなった。なにか、変なこと言ったのかって。

パチパチと、拍手が広がって行く。それは、会場全体に、その光景は、とても、感動的だった。

「大変に素晴らしい」

「あ、ありがとうございます」

「本当に、素晴らしいかった。これが、今の清流高校の生徒会長がよく生徒のことを見ているということがわかってよかったよ」

「はい。ありがとうございました」

「では、もう一回この彼へ、大きな拍手を!」

もう一度してもらった拍手は、さっきの拍手みたく、感動はなかったけれども、でも、嬉しいかった。最初は、嫌だった。食事会だったけど、終わって見れば、よかったと思えた、食事会だった。

それに、生徒会長になったのも

「では、この彼には、今度行われる今の日本についての、弁論大会に出てもらう」

ん?弁論大会?それにどこの彼が出るのかしら?

「じゃあ、よろしくね。昌幸君」

本当は、わかっていたけどね!その彼って言うのが 俺だってね!

「いや、僕には、無理ですから」

「いやいや、そんな謙遜しなくてもいい

よ。だって、あんなに感動することが出来たのだから。だから、君は、できる」

なに!その精神論?なにが君はできる?そんなわけない!

もぉぉぉおおーーー!!やっぱり俺が生徒会長になったのは、間違っていたぁぁぁあああーーー!!!!と心の中で、叫んだ!

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