第12話 御崎百瀬は風紀委員長⁉
今日は、生徒会長して、初めてのしっかりとした仕事である。それは、役員会議。
役員会議では、学校に存在する委員会の役員の委員長クラスの人たちが月に一回集まる会議である。
今日、役員会議で話し合う内容は、学校の風紀について。らしい。
なんで、らしいなのかは、まあ、察し通り、最近生徒会長になったからその辺のこと全くわかっていないのだ。
「緊張してる?」
そう、聞いてきたのは生徒会副会長神崎眩。
「はい」
「そんなに、緊張することないよ。こんなんの唯の会議だから」
「そうですかね?」
「そうだよ。もっと言っちゃえば、こんなの生徒たちの遊びだからさ」
遊びって生徒会副会長が言っていいんだろうかと思ったけど、さっきの俺の緊張を解いてくれたものだと思っておこう。
「はい」
そうこうしているうちに役員会議は始まる10分前になっていた。
「眩?」
眩が睨んできた。
え、なに俺変なこと言った⁉いや、言ってないぞ、じゃあ、呼び方か?でも、前に眩さんって呼んだら、眩でいいよって自分から言ってきたわけだし。でも、なにかわかんないし。ともかく、呼び方を変えてみよう。
「眩さん?」
眩は、頭を横に振る。
えぇぇぇーーー!!!なにがいけないの⁉俺に分かんない。眩と眩さんが駄目だったらなんだったらいいんだ?わからん。考えろ、眩でも眩さんでも駄目だった。じゃあ、他の呼び方は?俺と眩の関係性は、生徒会長と生徒会副会長。そして、先輩と後輩。ん?先輩。そうか!
「眩先輩」
「はい。なんでしょうか?」
どうやら、この神崎眩という人は状況に応じて、人への接し方を変えるみたいだった。
「えーと、今日のこの会議では、学校の風紀についてですけど、今日ここに来るのって、風紀委員長だけですか?」
「いいえ、そんなことないです。この学校には、沢山の風紀に関する委員会が存在します。だから、そこの、いわいる、トップの5人に今日は来てもらいます」
「はい。わかりました」
そして、会議まで残り5分になっていた。
会場には、少しずつではあるけれど、人が集まってきていた。
「あと一人ですね?」
「はい。百瀬さんだけですね」
ん?百瀬さん?それって御崎百瀬のこと?いや、そんなことってないよね。もし、そい
うだったらもの凄い確率だし。たぶん眩が言った百瀬さんは俺の知っている百瀬さんとは全くの別人だよね。うん。
「遅れてすいませーん!」
そうして、会場の扉を開いたのは、俺の知っている百瀬であった。
今、私は、遅れそうである。会議に。
なんでかそれは、忘れていたとかそういうのじゃなくて、いえ、やっぱり忘れていたのかもしれません。先月出た好きなシリーズの続きを読んでいたら、なんともう、残り10分になってました!だから、今私は急いでいます。
そして、残り3分のなったところでやっと扉の前につき、扉に手を掛けて、誠心誠意込めて
「遅れてすいませーん!」
と。言った。
顔を上げた先には、つい最近、一緒に遊んだ。近藤昌幸君がいった。
ええぇぇー、まじが!そんなことってある⁉眩が言った百瀬さんてのは、俺が知っている百瀬だったの!それって本当どんな確率だよ!でも、今は、そんな驚きを隠さなくてはいけない。なぜなら、俺は今、生徒会長としてここにいるのだから。
えっ……ええぇぇー‼な、なんで昌幸君がこんなところにいるの⁉あ、そうか聞いた噂では、嗄騨生徒会長は、アメリカに行ってるんだっけ?じゃあ、その代わりに昌幸君が生徒会長になったわけ!それってもの凄い確率!なんか運命感じちゃう。今なら、貴方のことが好きですって言えそうな気がする。と思いいつつもたぶん違うことを言うのだろうけれど。
いやいや、今はそんなことを考えている場合じゃない。だって、今は、私は、風紀委員長としてここにいる。だから、しっかりしないと!
俺と百瀬の異変に気づいたのか(できれば気づいて欲しいはなかった)眩は、なにやら、悪巧みを思い付いた子供のような笑みを浮かべると
「なんですか、百瀬さんと昌幸君は知り合い?」
「あ、そうです」
「は、はい」
「そう。それは、よかったです。いちいち説明しなくて済むので昌幸君のことに付いて」
え?百瀬が俺と知り合いだからって俺がどうやって生徒会長になったのか経緯を話さなくていいの?
眩は、そんな疑問もお見通しだったのだろう。
「前の会議の時に言ったので、嗄騨生徒会長は、アメリカに行ってしまうので嗄騨生徒会長が選んだ人が新しい生徒会長になります。と」
へえー、そうなんだ……。でも、俺百瀬に生徒会長になったなんか一言も言ってないけど……まあ、その辺は気にしないようにしよう。それがたぶん最善手だろうし。
ん?ちょっと待って。前の会議の時に。ってことは、百瀬以外の人はその会議に参加して居たわけで、って百瀬はなにしてたんだよ。そんな、意味をなさないであろう俺の考えてなんて露知らず、会議は進んでいく。
「では、今の学校の風紀はどう思いますか?風紀委員長の百瀬さん」
「えーと、今の学校の風紀は、前年度より、よくなっていると思います。そう思う理由は、前年度より行われている。学校風紀改革の成果だと私は、見ているからです」
あ、それ俺も聞いたことある!それなんか去年いきなり生徒会から言われた謎の公約みたいなものだよね!今いちなにが変わったのかわかんないけど、まあ、なんか変わっただろうね。あ、いかんいかん生徒会長がこんなんでは、しっかりしないと。
「はい。わかりました。確かに昨年度よりも制服の着こなしの乱れや、頭髪や、そのたもろもろがよくなっていると私も思っています」
眩は、とても、業務的というか、とても、その型のはまったような言い分をしている。
まあ、これが、生徒会副会長として築いてきた人物像であるのであると思う。
いやー、しかし、あの最初に生徒会室であったあの人とは一緒の人には見えんな。とどこか、自分は関係ないと思って、最初に生徒会であった眩と今目の前にいる眩とのギャップに驚いていると……
「では、生徒会長の昌幸君は今の学校の風紀についてどう思っていますか?」
ええ!なにそれ俺も言わないといけないの!
そんなこと俺聞いてないけど!でも、これが生徒会長としての
「僕の考えは──
それはあくまでも、眩と百瀬の言葉を借りた物でしかなく自分で全てを考えたとは言いにくいものであったけど、俺は言った。
──昨年度行われた、風紀改革の成果はしっかりとあったと思います。それは、頭髪も制服の着こなしもそう。それに──
俺は、今まで生徒会長になってから学校を見てきて思ったことを考えそして、生徒会長として学校の生徒たちを見てきて思ったことや、感じたことをなるべく学校の風紀に関係があるようのに
──風紀改革が行われたあとから、さき程のことに加えて、学校全体が主体的に挨拶をするようになったと思います。これは、あまり風紀とか関係はないかもしれませんけど、でも、それでも、風紀がよくなるに連れて、学校の雰囲気がよくなったのはいいことだと僕は思います」
この言葉は、全てが自分の言葉なんかじゃない。眩と百瀬の言葉が有ってのものである。でも、少しは、最後の学校の雰囲気がよくなったと思ったのは、生徒会長になってから感じたことだったから、風紀には関係ないかもしれないけど、学校の雰囲気がよくなったことは、風紀がどうこうより、それよりもとても大切なことだと思う。
まあ、これは、何回も言うようであるけれど、眩と百瀬の言葉が有って、だからだけど。
俺は、いい終えて、周りを見渡してみると、なにかしんみりといた感じになっていた。
「え?みんなどうしたの?もしかして、俺変なこと言っちゃた?」
それとも、さっきの思ったことが声に出てたとか?それだったらまずぞ、それってつまり、俺が糞人間だって思われるじゃあねえか!
そんな俺の考えとは、真反対の言葉を眩が言った。
「昌幸君がとてもいいことを言ったので」
どうやら、俺は変なことを言っていなかったらしい。よかった。
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