第17話 生徒会書記は、病的に生徒会長のことを愛している

時は、流れること一週間。

夏休みも、終わりに近づいていた。

そして、今俺は、生徒会室にて、刃物を向けられている。

誰に?強盗?連続殺人者?そんなものなのではなく、なんということか、生徒会書記、藤代朱音ふじしろあかねにそんなことをされている。

何故こんな状況になってしまったのか……少しだけ、時を遡ることになる。


今日は、生徒会顧問、小松原由恵こまつばらよしえ先生から、生徒会室に来るようにとの連絡があった。

なんでも、始業式で生徒会長就任式があるからしい。

そのために、生徒会長になってこの学校をどうして行きたいかとか、あと少しの任期で成し遂げたいこととかを言わなくてはならないらしい……そういうのって、事前に決め手いいのかやら……まあ、先に言うことが決まってることは、いいことだからまあ、よしとするか。

そして、俺は、生徒会室ついたはいいけど、

由恵先生の姿が見当たらない。

しかし、由恵先生ではない人がいた。

長い髪を窓から入ってくる風でたなびかせながら、読書をしている女子生徒が。

名前をなんと言ったかな?確か……わかんなない。でも、生徒会書記だった気がする。

こっちの存在に気づくと、読書をやめこっちを向いてくる。

「やっときたか……じゃあ、死ねぇぇぇ!!!」

「え?」

女子生徒は、俺に向かって包丁のような刃物を持ちながら、突進してきた。

そして、場面は戻る。


俺は、最初の一撃をどうにか避け。

「っな!なにしてくれるんですか⁉貴方人殺す気ですか⁉」

「ああ、お前は、絶対この手で殺す!」

その言葉には、ものすごく殺気を感じた。

それは、もうこの生徒会室で本当に殺されてしまうと思ってしまうぐらいに。

……というか、どこからあんな刃物を出したのだろうか?

俺が、入った時は、刃物なんてどこにもなく、そして、とても可憐な女の子に見えた。

しかし、俺を見つけるなり、やっときたか、じゃあ、死ねぇぇぇぇ‼とか言って俺に突進してきた。

そこで、問題です。

藤代朱音は、どこからあんな刃物を出したんでしょうか?

答えは…………わからない。

なに、問題出しときながら解答がない。ふざけるな?と言われてもわからないものは、わからない。そうこれは、あれだ!

──真相は闇の中

と俺が、誰に対して言っているのかわかんない問題を出して、今この状況から、現実逃避していたら……また、藤代朱音が俺に突っ込んできた。

俺は、避けることはできたが、その代償として、制服が破れてしまった。

「だ、だからなんで俺にそんな殺意むき出しなんですか⁉」

藤代朱音は、怒り狂った様子から一転目に涙を溜めて顔を赤くし

「お前が、私の嗄騨愛人を奪ったからだ!」

「ん?今なんて……」

「もう一度だけ言ってやる。私の嗄騨愛人を奪ったからだ!」

うん。僕には、いまいちこの変態がなにを言っているのかわかんない。

「あ!今お前私のことを変態とか思っただろ!」

何故だか、知らないけど、藤代朱音は、俺の思考を読んだが如く私は変態ではない!と間接的に言ってくるのであった。

「よくわかりましたね」

「やっぱりか!私を変態呼ばわりするか!…………じゃあ、これでお前の人生は終わりだぁぁぁぁ!!!」

藤代朱音は、一度目をじっくり閉じると、いきなり、俺を殺そうとしてきた。

「はいはい。みんな大好き天使な乙女由恵登場!ってやめなさい!」

少しだいぶ、うざったい紹介で入ってきた由恵先生は、藤代朱音の懐に入り、いきなり、コショグリだした。

藤代朱音は、コショグリに相当弱いのか、由恵先生のコショグリでその場にへだりこんでしまった。

「あのー、由恵先生?」

「はい?なんでしょうか?」

「さっきの、自己紹介的なのはなんなんですか?」

「ああ、あれは、私の真の姿よ!」

いや、真の姿よ!とか言われても……あんな自分のことを恋する乙女とか言う40アラフォーってね……

「なに、文句でもある!」

「いや、特にないですけど……でも、先生に持つ印象が変わりました」

具体的には、頼れる先生から関わりたくない先生に。

「どんな風に変わったの?」

「まあ、そこについては、言及は避けさせていただききます。で、早いとこ俺が始業式でやることについてやりませんか?」

「ええ、そうだったわね」

俺は、なにか忘れているような気がしたが……まあ、そんなのは杞憂だろう。

それから、始業式でいろいろと俺がやることについてやった。

「はあ、これで終わりでいいですか?」

「はい。これでいいです」

由恵先生は、生徒会室登場の時とは、打って変わって、いつものできる女由恵先生になっていた。

「じゃあ、これで解散で」

「はい。では、残り少ない夏休みを楽しんでくださいね」

「では、失礼し」

「っふ、ふふふふふ!この私がそんな簡単に逃がすわけないだろ!」

藤代朱音は、俺に再び刃物を向けていた。

あれ?さっき、杞憂とか思ってた気がするのってこの人のこと?

「はいはい。朱音ちゃん、もう少しお休みしようか」

由恵先生は、藤代朱音に近づくなり、懐に入った時のように、今度は、背後に入り、マンガの如く、藤代朱音を気絶させていた。

なんというか、この由恵先生は、敵に回してはいけないタイプだなっと心の中で、おもいながら、

「失礼しました」

と言って俺は、生徒会室を後にした。

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