第26話 ご対面

「なあ、眩?」

「なんでしょうか?」

「ちょっと耳貸してくれ」

「はい」

(本当に妹と一緒に来て良かったのか?)

(いいよ。だって、面白そうだし。それにね)

なに、その含みがありそうな、それにね。って。

「そこ、なにをこそこそ話ている!」

「いや、なんでもないよ」

「そう。で、お兄ちゃん」

「ん?なんだ?」

「お父さんとお母さんには、今日友達の家に泊まってくるからって言ってあるからね」

泊まってくるって言ってあるからね。じゃねいよ!なに、俺眩の家に泊まらないといけないわけ!そんな無理だよ。それにね、眩が今日泊めてくれるわけが……

「いいですよ。泊まって」

「いや、ね。いちおう、同級生な異性なわけですし、しかも恋人ってわけでもないのに、泊まるとか止めた方がよいのでは?」

「なにを言っているんですか?今は、恋人ですよ」

あ、確かにそうだったわ。

「でもね、異性なわけだし」

「あ!お父さん!」

「ああ、やっときたか」

「はい。それで、私の未来のお婿さんを泊めてもいいですか?あと、妹さんも」

「ああ、いいぞ」

あ、詰んだ。これ、もう、逃げようがないわ。

「では、近藤君?であっているだろうか?」

「あ、はい」

「では、近藤君あと、15分後に眩と一緒に私の部屋まで来てくれ」

「わかりました」

「では、15分後」

「はい」

そして、眩のお父さんがいなくなるのを見計らって

「もう、嫌」

と、嘆くのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る