第18話 クリアするまでがゲームです

 残念だが、俺の予定はほとんど女の子で埋まってる。

 と、いうわけで俺のプレステ2は最近埃を被っている。

 が、そうは言ってもネットとかで「隠れた名作」を聞くとついポチってしまい積みゲーが増えていく、バイトで金入るからって油断しすぎだ俺。

 クリアするまでがゲームです。


 で、マジで世界の危機だったんだよな。

 やぁね、ギャルゲーだと思って油断してたら……。

 それはある火曜日だった。

 

 バイトをあがった俺は、半額シールのついたお袋お気に入りコーヒーロールを鞄に入れて帰路に着いてた。

 あと二つ角を曲がったら家、という所で。


 見たんです、俺。

 なんだか小さなお社みたいなポストくらいの見たことない建造物、その周りだけ不気味な黒っぽい紫に染まる大地。

 そこから出てくる、禍々しい化け物。

 なんて言えばいいだろう?

 大きさは軽トラぐらいで、そんなに大きくはない。さっき軽トラに例えたけど、色は白っぽく、時々紫の部分がある。一見無機質で命のあるものに見えなくもないけど、よく見るとムネムネとテラってて、粘膜で覆われているのがわかる。

 目や触覚といったものが見当たらない、なのに奇怪にもその辺の壁をまるで意志のあるものみたいに(もしかしたら、あるのかも)喰らってる。

 問題は形で、貝のようでもあり水を吸ったスポンジのようでもありやっぱり軽トラのようでもあり、ってか不気味な音を立てながら自分で形を変えてる。


 なんだ、これは。

 俺はそう考える前に鞄を抱きかかえ逃げていた。

「まって」

 家で待っていたはずのハオが、俺の目の前に立ちふさがる。

「あれが祟り神、お願い、あなたの力が必要なの」

 俺は思った。


 あぁ、そうか。

 これ戦闘ありのギャルゲーなんだ。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る