第12話 だから勉強コマンドは……。
さて、帰るぞ。しかし一人でとぼとぼ帰るのと違いハオと一緒だ。
沙織は「この後部活がある」って言ってた、確か演劇部じゃなかったっけ?
帰宅する際の会話もまた重要イベントの一つ、はりきってまいりましょう。
「なぁ、ハオ」
「なぁに、明緒くん」
俺は必死に頭を回転させた、ハオの喜びそうな話題、話題、っと。
「長者って、お金持ちのこと?」
ハオは俺を長者にさせたがっている、IT長者とかなら、女の子にもモテるだろうし俺もなりたくないわけじゃない。
「う~ん、ちょっと違うかな」
違うのか、どういうのがハオのタイプ?ってストレートな質問もいいけど、こういうことからちょっとずつ攻めていくのもありだな。
「えぇっとねぇ、お金だけじゃなく、色んな人に慕われてて、尊敬されてて……」
「そんな○○さんとか××さんみたいになんなきゃ駄目?」
俺は思わず有名な企業家の名前を言ったけど
「……誰?それ?」
キョトンとした顔をされた。あぁそうだった、ハオは知らないよなぁ。
「長者がちゃんとしてれば、村人も豊かに幸せに暮らせるの」
嬉しそうににっこり微笑まれてもなぁ、あぁそうですか、としか言えない。俺そんなのになれるかなぁ。
「明緒もなれるよ、だって私がついてるんだもん」
どうなんだろうそれ、まぁ神様の使いだしハオの言葉に嘘はない、多分。
と、そんなことを話しながら下校した。
あぁ、ってか下校ビジュアルいい、一枚絵じゃなくちゃんとハオの狐耳とか髪とか服の裾とかアニメーションするんだぜ、俺攻略対象がハオしかいなくってもこのギャルゲー買ったかも?
つうかマジ、好みのキャラがいるギャルゲーっていいよな。
普通女の子と下校イベントって送って行くんだけど、なんてったって俺とハオは一緒に暮らしてるんだし一緒にただいまするんだぜ。
「ただいま、おふくろ」
「あらお帰り、今日はちょっと遅いわね?」
「あぁ、沙織に勉強を教えてもらってた」
「あら、沙織ちゃん!?そう、お友達なの」
お袋はなんだかうれしそうだ、まぁ俺二次元の女の子も大好きだけど三次元はもっと大好きなんだけど、お袋がいる居間でギャルゲーばっかやってるから心配されたのかなぁ。
「あぁ、なんかこれからも時々勉強みてくれるって」
「あらまぁ、テストが楽しみねぇ」
うっしまった、余計なことをいうんじゃなかった。
「それじゃ成績上がったら、ちょっと小遣いUPしてくんない?」
俺は手を洗って言った。
ついでに交渉してしまおう、
「いくら?」
「……十点千円ぐらい?俺もバイトするけど、携帯代と食費、腹、減ってさ」
「考えとくわ。それはそうと、……アルバイト?成績に響かない程度にね」
物分かりのいいお袋で助かった。
それにしても十点千円かぁ、俺の成績からするとがんばれば五千円ぐらいUPするかなぁ。
え?今のでいかに俺が頭いいかわかっちゃった?いやぁやればできる子ですよ。
そうして俺はハオと自室に入った。
自分の部屋だ、さーて。
あ、勉強コマンド壊れてるから、50点5000円は美味いけど、自室でできるのはSNSやインターネット、電話、写真を見る、ハオと会話、寝る。(一人で)
そうだ、帰宅途中に思ったんだけど、ハオにもっと今の社会の仕組みを教えなきゃ。
「今はね、この国は将軍じゃなくみんなで選んだ『首相』ってのがいて、それでねぇ……」
「うんうん」
ハオは黙って聞いている、動画サイトのBGMは俺の魂のゲーム「アイドル雀士スーチーパイアドベンチャー ドキドキナイトメア」だ。
このゲームの良さはちょっと長くなる、が、はしょっていうなら「こんな女の子絶対に現実にいない」ってのがいい。
ハオなんか確実にその部類なんだけど、それがこうして「いる」んだもんなぁ。
それにしても電波な歌詞の西村久美子の歌声のせいか、それとも沙織のいうように人に教えるって勉強になるからなのか、するつもりがなかった勉強をしてしまったぞ。
ちょっと社会に詳しくなった気がするなぁ。
「お夕飯よ~」
「あ、はーい」
呼びに来たお袋に返事をしながら、俺はなんとなく、いつかハオとカラオケに行きたいと思ってた。
それまでにギャルゲーソングを覚えさせて、絶対歌ってもらうんだ。
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