主人公補正!!
夏川 大空
120円の出会い
第1話 自販機からこんにちは
俺は
ってな具合で、ゲームとかだとだいたいってな前振りでなんかしら起きるんだろうけど、あいにくと俺の知り合いに美少女はいない、俺の右手も光らない、今日もワクセイジャーの活躍で地球は平和なのだった、ありがとうワクセイジャー。
学校も終わりバスを降りて、家も近いというのになんとなくコーラを飲みたくなって当たりつき自販機でコーラを買う。
ピピピピ……スロットが止まる音がする。
「あぁあ、せめてなんか当たんないかな」
このメーカーは今キャンペーンをやってるらしい、なんでも当たればアイドルのARISAの飲みかけ……は友達によると死人が出るのであってARISAのライブチケットが当たるらしい。
ま、俺はアイドル興味ないけどね。
届かないアイドルなんかより現実の女がいちばんよ、現実の女が一体どんだけ俺を見てくれるかわかんないけどさ……。
あぁあ、可愛い女の子でも落ちてこないかなぁ。
「おめでとうございます!当たりです!」
機械のアナウンスが聞こえる、おっ、と俺は自販機についてるキャンペーン用のポスターを見る、キャンペーン内容は……
「一等 ARISAライブチケット
二等 ARISA新曲サイン付きCD
三等 ARISAライブペンライト
特賞 ひ・み・つ」
なんだいらないのばっかだ、当たったら友達にでも売ろう、とここまで考えて俺は思った。
あれ、当たりつき自販機でキャンペーンってことは、普通の当たりであるところの「おまけのもう一本」とキャンペーンの当たりがあるんだ、なるほど、で、キャンペーン用のは金色の当たり缶が出てくるんだな、二本あるなら確率高いだろ、当たったら友達に売ろう。
ガコン、コーラにしてはなんだかずいぶん軽い音がした。
「キャンペーンの当たり缶かな?」
俺はかがんで缶を取り出した、あいつの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。
金ぴかの缶が一つ、取り出し口にあった。
自販機のスロットはあたったのにもう一本が出てくる気配はない、故障かなぁ、でも別に自販機に書いてある「故障の時は」っていう電話番号に掛けるほどでもない、ま、しょうがねぇや。
金ぴかの缶はやけに軽い、電気屋で触った、次世代高機能携帯ぐらいの重さ。
「ま、あいつにでも売るか」
こういうのって開けると価値がどうこう言う奴がいるけど、開けないと何が入ってるかどうかわかんない、もしかしたら特賞かもしんないじゃんか。
そう言って俺が缶を開けると、突然缶からまばゆい光が溢れだし、俺は面食らって倒れた。
最も俺は次の瞬間もっと面食らったんだけど、なぜって。
俺はさ、あんま小遣いないから、今は懐かしプレステ2で、初代プレステの二流ギャルゲーから掘り出し物を見つけるのを楽しみにしてるんだけど、ちょうどそんな感じで。
ふさふさと、獣のような耳が二つ、よく見るときつねみたいな尻尾もあるみたいだ。アホ毛の出た黄金色の長い髪、巫女さんみたいな……でもちょっと変わった衣装と言ってもいい服、なんとなくふくよかな、それでいて見事な身体の曲線、そして大きすぎず控えめ過ぎず「このぐらい」の胸、はにかんだ笑顔の……。
なんていうか「あぁこんなの一昔前のギャルゲーにいたなぁ」的な女の子が目の前に現れたからだ。
「当たりだよ」
女の子はにこやかにこういった、俺はけっこう一昔前のギャルゲーは好きだけど、実際こういう展開になるなんてことはもちろん考えてない、妄想はいつもだけど。
「どちら様ですか」
だからそれで精いっぱい、だってこういうのってあれだろあれ、ギャルゲーとかだと、だいたいこういうのってなんかの神様で、で、同居なんかちちゃったりなんかしたりするんだよ、プレステだとあれだけど元がPCだったりするとある条件を達成するとその娘のEDになって、もちろんあれなシーンも……。
ってな俺の妄想は止まらない、そうか、俺も大人の階段を登る日がついに来たか。
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