第35話 平和な日常?

 そんなこんなで町は平和になった。

 でも、問題は山積みだ。


 まず、何よりも『なぜハオは心の勾玉は持ってなかったのか?』

 帰ってます俺とハオは、そのことで喧嘩になったのだった。


「なんでだよハオ!あんなに一緒に色々行ったじゃないか!!」

「うん、楽しかったよ」

「君が心の勾玉持ってないなんで聞いてない!」

「?持ってるなんて言ったっけ?」

どうにも話になんないつうか、全然話の前提が違うっていうか。


「俺とまだ心が繋がってないなんてあるはずないだろハオ、だって……」

「あたしにだって明緒に秘密ぐらいあるもん!」

え、なにそれ、初耳なんですけど。

「そんな、だってあんなに一緒に……」

震える拳を必死に抑えて俺はハオの瞳を見た、泣き出しそうな瞳を。

「……わかんないならもういいよ、それより、もう祟り神はいないんだし、

どうぞ明緒さん!色んな女の子と仲良くなったんでしょ?あたしいちゃ邪魔でしょ?」

「な、な」


覚えはある、今まで邪険にしたことがないといえば嘘になる。

 けど俺の心の中にある温かいものを、ハオに知ってほしい、いや誰にも知ってほしくない、みんなに伝えたい、なんだろうこの気持ち。

 この気持ちはどろどろしてて不純で、純真なハオにはふさわしくない、いやこれは世界で一番綺麗なものだ、この世にめったにないそういった綺麗なものだけ俺の心の中で固めて、磨いてあげたら、ハオが喜ぶかな。

 いやこんなのあげるなんてとんでもない、こんなのぶつけたら、ハオを傷つける……。


「明緒?」

俺の心を読んでハオが少し心配そうに俺の顔を覗き込む。

 だめだ、見ないで、見て、受け止めて。

「お前なんか大嫌いだ!祟り神はもういなんだし、出ていけ!」

言ってしまった、思ってもいないことを……。

「……わかった、さよなら」

え、まって、行かないで。

心が読めるんでしょ?俺の気持ち、気づいて。

 

                 ☆


 結局、その日の夕食後、「お前の服とかは俺が買ったんだから荷物は置いてけ」という俺の意見を素直に聞いて、ハオは小さな雑貨屋のナイロン袋一つ持って出て行ってしまった。

「じゃあ、女の子たちと仲良くね」

とだけ言い残して。

 ……なんだよそれ、俺がなんか、いやしたっていえばしたし「したい」んだけど。


 そんなこんなでハオのいない部屋、いいさ、すぐ慣れるから。

 それより誰とED迎えるかな、今んとこ好感度はみんなおんなじぐらいの気がするぞ?

 もしかしてハーレムED?やったな俺!

 ……寝よ。 


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