第36話 伝説の存在

 いつも通りの朝、ハオはいない。

 と、言いたいとこなんだが、なんか変だ、なんでこんなに暗いんだ?

 俺は窓を開ける、確かに変だ、重い雲で真っ暗。

「……朝から雨か?」

俺は着替えて、神器でネットの天気を見ようとする。


 途端、聴いたことのないブザーが神器からした。

「緊急通報!すぐ逃げて下さい!」

画面いっぱいにメッセージ。

「え?え?」

俺は慌てる、逃げる?どこに?なんで?

「明緒?起きたの?あれ、今日は日曜日じゃないの?」

寝ぼけ眼のお袋が俺を呼びに来た。

「お前の好きな戦隊物がやってるよ、ほら」

居間のテレビには、見たことのない怪獣と、避難を呼びかけるアナウンサーの声。

 でも、それはニュースで、特撮じゃない。


 まずその化け物は何にも似ていない。

 しいて言うならエリンギとかキノコに似ている。

 でも大きい、最初俺は雲だと思ったけど、雲にしては無機質で、それでいてバケモノじみている。

 その、なんつうか、ち……教科書で読んだ原発雲、それに似ている。


 俺は、あれを知っている。

 おそらく祟り神、その親玉だろう。

「この生物は夢の国から出てきたそうですが」

「そうですね、おそらくオゾン層の一種が何らかのきっかけで生物化したと思われますが、自衛隊は何をやっているのでしょう?」

くそったれめ、こんな時に悠長に対談かよ。

 だいたい自衛隊なんか、役に立つか。

 あれと戦えるのは、世界で、俺一人。


「変身!」

俺は神器を振りかざす。

あんな大きくたって、神器の攻撃は効くはずだ。

見てろ!俺の最終変身!



 

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