第37話 たった一人の戦い?

 これが戦隊ものだったら、ラスボスの時はだいたい最終戦に向けたアイテムがちゃんと見つかって、ヒーローは最終変身する。

 でも……これは戦隊じゃない、現実なんだ。

 だから、俺一人で戦わなきゃ。

 

「変身!」

どこからか声がする。

 黒いバイクライダー、一緒に戦ってくれるのか?

 それは助かるけど……。

「君!大丈夫か!」

「はい、それよりこれ、そういう武器とか多分全然効かないんで、あの、みんなを逃がして下さい」

「……わかった、君の検討を祈る」

って今のあの!あれ、ほら、うんと、その……あぁそうだ祟り神祟り神。


 きのこは雲みたいにぷかぷか漂ってる、あれを、倒す?

 どうやって?

 でもライダーに頼まれたんだ、俺、約束したんだ、ライダーと。

 だから、やらないと。


「ゴッド・ブレッシング!!」

 いきなり必殺技、これはなぎさ会長の心の勾玉だ。

 ……効かない、

「明緒!」

「会長!?」

戦ってる俺に気づいたなぎさ会長が遠くからメガホンで叫ぶ。

「そんな危ない仕事任されて!ったく!あとで事務所に文句言ってやるからどこ所属か教えろ~!」

……なんか勘違いされてるけど、バレーだって、一人で戦っているわけではないんだ。

もう一度腹に力を込め

「ゴッド・ブレッシング!!」

こんどはちょっとかすったみたいだ。



 「ゴッド・ブレッシング!!」

これはゆりちゃんの心の勾玉だ。

 効いている様子はない、

「明緒くん!」

「ゆりちゃん!」

近くのタワーに避難して、キャンパスルックのゆりちゃんは俺よりお姉さんに見えけど、一生懸命、俺に向けて横断幕を掲げる。

「がんばれがんばれ、あ、き、お!

ね、また一緒にゲームできるよね?約束だよ?」

「あぁ!」

ゲームはみんなと一緒にやった方が楽しいし、攻略も簡単だ。

また一度腹に力を込め

「ゴッド・ブレッシング!!」

さぁ、ちょっとは効いてくれよ。


「ゴッド・ブレッシング!!」

そしてこれは沙織の。

 これも効かない、が。

「明緒くん!」

「沙織!」

沙織も、俺の戦いを応援してくれる為に駆けつけてくれたようだ。

 鈴木さんも一緒だ、なんかやっぱりちょっとくっつき過ぎの気が……いや、女の子同士が仲いいのはいいことだよ。うん。

「頑張ってね~!」

もちろんそのつもりだ。やっぱり、最後はみんな仲良く(ハーレムしたい)。

 もう一度息を大きく吸う。

「ゴッド・ブレッシング!!」

頼む効いてくれ、これは俺だけの力じゃないんだ。


みんなで、笑って暮らせればいいな。

でもここにはハオがいない……。

沈む視線を気力で戻し、見上げた空に射す、綺麗な一筋の金色の光。

「???」

「明緒!あたし、来ちゃった……」

……。

………。

「ハオ!お前どこ行ってたんだ、心配かけやがって!」








 

 

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