第22話 全員EDコンプで隠しスチルが!
ともかく、明日から頑張ろう。
心の勾玉は、あと二つ。
と、いうわけで今日も沙織と演劇だ。
え?沙織の心の勾玉はもうもらったんだからとっとと次進めって?
甘い甘い、攻略後のラブラブイベントこそギャルゲーの要。
デレ期を味あわずしてなんのギャルゲーマエストロか、まぁ、ツン期はツン期で
「いい」けどな。
演劇部の部室。
沙織は当然ヒロイン役で、わりと勝気なヒロインを楽しそうに演じてるぞ。
台本は555に最大限に敬意を払った文芸部部長会心の作。
え?音楽?そりゃお前……。
「あっ、明緒くん」
沙織の俺を見る目が優しい。
「昨日はありがとう」
出番待ちの間、みんなに聞こえないように俺に話しかける、いい。
「これからも……」
あぁ、きらめく2人の時間を……。
「ずっと、お友達でいてね」
あぁ、そうだよね。
☆
いいさ、ハオは相変わらず天然だけどデートはそれなりに楽しいし今日だってなぎさ会長とバレーの手合わせだ。
なぎさ会長はあぁ見えて意外といいお母さんにはなりそうではあるけど、恋愛対象としてはどうなんだろう。
「遅いっ!」
さっきから合同練習に付き合ってもらってるけど、正直、そんなすぐ上手くはならない。
でもそれはなぎさ先輩も一緒で。
「あれ?あっちに打ったんだけどなぁ……」
なぎさ会長の打った球はあさっての方向に行ってる。
「どんまい!スピードとパワーよかったよ!」
俺は別に体育会系ではないけれど、あいつらのあのさっぱりしたとこは好きだ。
だからそんなことを言ってみる。
「う~ん、力入れすぎちゃった」
笑いながら玉を拾いに行くなぎさ会長。
「なぎさ、もうちょっと、こう……」
顧問の先生が打ち方を教える、
「がんばろうな」
「そうだね」
俺はそんなことを話しながら、(顧問の先生、写真ちゃんと写してるな、よしよし)とほくそ笑んだ。
以前会長に
「生徒会新聞にバレー大会のことを書くなら、練習風景の写真があった方がいいですよ」
なんてテキトーなこと言って、なぎさ会長含め皆の練習風景を神器で写真に撮ってもらうよう先生に依頼したんだ。
なぎさ会長、評判よりはるかに単純だなぁ、そんな写真とってさぁ、あらぬことに使う奴(心の勾玉探したりとか)いるのに……。
次の日、沙織とはいい友達のまま進まない……。
まぁいいさ、俺はバイト先の素朴で可愛い子、あと温かい家庭を……ってなんで結婚なんだよ!
でもその子、純だし、ギャルゲーの主人公みたいにあれなことしたあげくお別れするには忍びないってか、それにしても。とバイト日俺はその子を見る。
「鈴木さん、ちょっと俺特売のお味噌補充してくるからレジお願い」
「うん」
静かな子だなぁ。
☆
俺と時々ゲーム屋でひょっこり会う子は由利って言って、自分じゃ女子大生って言ってるけどやっぱ18歳以下にしか見えない。
「ねぇ、その『るぷ☆きゅーぶ』本当に面白いの?なんかイラスト……」
「お前そんなこと全国の竹本泉ファンに謝れ!俺に謝れ!メガCDとこれ違うけどゲームアーツとセガサターンとそういうものに謝れ!てめ」
「?イラスト可愛いねって言おうと思ったのに」
なんて具合に軽口も聞ける中に。
この調子でいけば、心の勾玉はあと二個だからバイト先の鈴木さんかゲームショップの由利かなぎさ会長かハオ、うち二人もそれを『持ってない』んだけど。
う~ん?二人も?
ボーイッシュ、年下、素朴、幼馴染、隠しヒロイン。
ギャルゲーマーとしてはなにがどうあれ全員攻略するよな、そりゃ。
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