第17話 プレステ専用のジレンマ

にしてもなぁ、全年齢版だからしょうがないけど、パンツもらうとか、もっと突飛なのでもよかったのになんで握手なんだろう。


 俺はそんなこんなでふさぎながらイベントをこなしていた。


 ハオが来て三週間、女の子と手を繋ぐ機会もそうそうないくせに帰るいつもの土曜日(つまりなんにも予定が無い日)そんなことを言いながら下校してたら後ろから沙織に呼び止められた。


「ねぇ、明諸君、ちょっといい?」

「うん?」


最近沙織とも勉強以外の話がちょっとできるかな?って感じになってきたんだぞ、日々是進歩、他の女の子もそれぞれ、お互いの名前ぐらいは知ってて「友好」って感じだ。


「あのね、私演劇部で文化祭に仮面ライダーファイズ?ってのをやることになったんだけど」

「え?」


仮面ライダー555と言えば、俺の世代ど真ん中ではないか、なんてったって俺それのベルト持ってるぞ。(しかもコンプリートセレクション!)


「男子がね、みんな『恥ずかしい』っていうの、仮面ライダー……。ねぇ、明緒、子供のころ、好きだったよね?仮面ライダー?」

「俺仮面ライダーになれるの?マジで?」

俺は嬉しすぎて声がうわずってしまった、


「よかったらだけど……週一回だけでも通し練習に付き合ってくれれば、あとは台本を覚えるだけだから」

沙織はいつもやってるせいか簡単に言い過ぎだけど、断ってたまるか、仮面ライダーになれるんだぞ。


「もちろん、じゃあ土曜日は?」

「ありがとう、じゃ、みんなにも言っとくね!」

沙織と俺は隣同士だし、それから一緒に帰った。


 しかし、おかげでますますプレステの安値ゲームをやってる時間は無くなったぞ。



 俺はその日帰って、まずやることと言えば555のDVDを見ながら「変身!」とポーズを練習することだった。

「変身!」

「……明緒ちゃん?」

俺の部屋にジュースを持ってきたお袋が、ちょっといぶかしげになったけど

「へぇ、演劇ねぇ、じゃあお母さんも見にいかなきゃ!」

事情を離したらちゃんとわかってくれたぞ。つうか高校生の文化祭だぞお袋、恥ずかしい、やめてくれ。


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