第16話 メッセージスキップしたい
口を聞いてくれなくっても、ハオと同じ部屋で寝るのはやっぱり緊張する。
そんなこんなで朝、日曜日。
「機嫌直してくれよハオ~」
「べつに怒ってないわよ?のぞき魔くん」
そういう呼び方されてしまってはいるけどさ、ほんと情けない、俺。
「何したら機嫌直してくれる?」
俺は土下座する、きっと昨日のイベントでハオの好感度は下がりっぱなしだ。でも、ハオとだってうまくやっていたい。
「う~ん、そういわれてもねぇ……」
ハオは思案顔だ、なんとなく俺が思うに、ハオに「みんな幸せになりますように」以外の欲ってそんなになかったり?それもさみしくねぇの?もっと楽しく、デートしたりさぁ。
「明緒はこれから色んな女の子と仲良くなるんでしょ?じゃ、デートの練習付き合おうっか?」
「それさ、ハオ俺とデートしたい?」
俺はちょっとむかついた、こんな時まで俺に気を使って、心を読んで、ハオの楽しいことってなんだろう。
「昨日街に一緒に行くの楽しかったよ?」
おっ、意外な展開、いいぞいいぞ。
「じゃあさ、今日はハオに付き合うよ、朝ごはん食べよう、仲直り」
「仲直り、ね」
指きりしちゃったぞ、このイベント、何度も回想しようっと、俺がHだったからこのイベントが起こったんだぞ!(反省してない)
昨日はアーケード街だったし、今日は波止場モールに来たんだ。
この波止場モールは結構大きな商業スポットで……
「明緒くん~!ね、これ、メロンパフェだって!」
ハオがはしゃいでる、よかった、よかった。
「じゃあ、お昼そこで食べようか?」
俺も手を振ってハオについて行った。
俺らはUFOクレーンで遊んだり、プリクラ撮ったり、かわいい雑貨屋を冷やかしたり、ハオの服を見たりとまるでカップルのように過ごした。
ってかハオ、プリクラ写るのな、なんでだろう?幽霊と一緒の理屈?
ハオの食べたかったメロンパフェは「微妙」だったらしい、
「メロンソーダの味、しなぁい!」
って言われてもなぁ、なんてフォローすればいいんだか……。
「でもこれが本物のメロンの味だよ?」
「う~ん、まろやかではあるけど、この下のとこなら美味しいんだけど……」
メロンパフェにははでな緑のメロンソースが入ってるようだ、なるほど、ハオはメロン味のなにかに慣れすぎたんだな。
「美味しくない?」
「う~ん、いまいち」
俺は笑った、
「ねぇ、よかったらだけどさ、日曜日になんにも約束がないときまた俺に付き合ってくれない?」
ハオの機嫌をみながら、そんなことをいってみる
「え?今日って明諸くんが私につきあってくれてるんじゃないの?」
「ハオと一緒なら、俺も楽しいよ、どう?」
ハオはちょっと戸惑ったが
「うん、いいよ、色んなとこ行こうね」
よっしゃ、これで予定のない日曜日はハオとデートだぜ。
☆
イベントスキップしたい。
火曜日は沙織と図書館で勉強、水曜日と金曜日はアルバイト、暇な時間みつくろってゲーム屋でポニーテールの女の子探して、日曜日はハオとデート、それでも空いた時間で別なイベントを拾う。
ハオのいる生活にもなれた二週間後、それはほぼ作業と化していた、だれるなぁ。
神器もやくに立つんだか立たないんだか、国語の授業音読で指されたときに「ガラスの仮面」はないだろ、昼休みなんとなく混ざったトランプで「デュエルマスターズ」とか、もう、力の使い方が変っていうか、何考えてんだろお稲荷様。ウケたけど。
だれてきた中盤にこそイベントだよな?な?
「おい、明緒」
「はい」
「クラス対抗バレーに一人抜けが出たんだ、お前やってくれるか」
「はい」
しまった!うっかりメッセージ読み飛ばしてたら選択ミスしてしまった、
「そうかやってくれるか、HRは終わり、と」
先生は納得してしまったぞ、キャンセルできない!まぁいいか、と流されてしまうのは「スポーツがんばってモテモテ計画」がぱぁっと頭に浮かんだからだ、なんだ、選択肢間違えてないじゃん。
そんなこんなで月曜日と木曜日はバレーの練習にでるように言われたぞ、これ以上イベント増やしてどうすんだろ、俺。
え、待てよ、日曜日ハオとデート、月曜バレー、火曜沙織と勉強、水曜日バイトで木曜バレー、金曜バイトでって俺の休みどこ行ったの?
しかしこれも女の子と出会うため……
「へぇ、一年C組、キャプテン代役なんだ?」
しぶしぶと渡されたバレーのユニフォームを着てその辺をぶらついてたら、なぎさ会長に会ったぞ。
「え、何それ、聞いてないんですけど」
なぎさ会長もバレーのユニフォームだ、スポーツは苦手って評判だけど、パワーはありそうだし、当たるの怖いなぁ。
「ま、正々堂々頑張ろうぜ」
ハイタッチを求められてしまった、思わず応じる、せめてバレー部のあの子とかあの子とかならともかく、なぎさ会長?いや待て、そのルート「あり」なの?
戸惑う俺のことをさっきから顔の濃いヤンキーみたいな人が睨んでる、怖い、俺はなぎさ会長ルートをなんとか阻止できないか考えたけどいちおう世界の危機なんだったっけ。
すいません会長、ハイタッチじゃだめみたいです。
あ、でも会長だったら、テキトーに言っとけば写真の一つも撮らせてくれるだろうし、「腕相撲しよう」とかいえば手も簡単に繋げるかも、違かったら別な女の子に当たればいいだけだもんな、楽勝かも。
俺はちょっとバレーの練習をして帰った、体力がついた気がするなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます