第5話 いきなり同棲!だがそれがいい。
自室のPCで俺は日課となっているSNSの画面を開く、よくありがちなゲーム系ファン同士の集まりのSNSで、俺の読者はせいぜいが200だ。いつもメッセージを交わす人も決まってみて、せいぜいが三人ぐらい。
「今日コーラ会社のキャンペーン特賞当たった!あとで写真UPする」
そんなたわいもないメッセージを書き込む、俺の利用してるこのSNSってみんなある程度「ネタ」というか「嘘」にあえてのってくるところがあるから、写真なくっても「そうなの?」で済むし、みんななんとなく流し読みしてんだろうし、それでいて俺の自己顕示欲も満たされるという。
こういうのっていいよなぁ。
「うん、唐辛子が効いてて旨味もあって本当に美味しい」
ハオ担々麺をすすりながらお稲荷様の使いが満足そうにつぶやく。この娘のアカウントもつくってみたりしたら面白いんじゃないかな、管理できるかちょっと心配だけど。
「そうか、なぁ君の名前、『ハオ』にしないか?」
俺は思いつきをいっただけなんだけど、
「えぇっ!ありがとう、人間の子供見てて、自分の名前っていいなって思ってたんだ」
と、えらく感激されてしまった。
あぁなんか、この「ギャルゲーにありがちな、主人公は人として当たり前のことをやっただけなのに偉く称賛されるシステム」人を駄目にするなぁ、でも、そこがいい。
「お腹いっぱいになったら考えようか、これからどうするか」
言いながら俺は思った、(って言っても俺の心は決まってるんだけどね、これからハートフルな同居生活が始まるのさぁ)って。
「え?一緒に暮らしていいの?」
ハオが喜ぶ、そういや心が読めるんだったよな
「悪いわけがないよ、お稲荷様の使いと同居なんて、きっと縁起がいいに決まってる」
俺は快諾した。
「……お供え、してくれる?」
「あぁ」
俺の家は神棚があるぐらいだし、何とかなる。
「でも……一緒の布団は……ちょっと」
俺の考えを読んでか、ハオがすまなそうに恥じらう
「……あ、いや、そういうゲームあるなって思っただけで!それだったら、ここは?」
立ち上がり、俺は自室の押し入れを開ける、やっぱ「こういう系」の居候=押し入れでしょう。
「お客さん用の布団が入ってるから、これをここに広げればベットになるかな」
ハオはしばらく押し入れを眺めて言った
「うん、もうちょっとかわいく飾ればわたしの部屋になりそう。ここ、わたしの部屋にしていい?」
「いいよ」
ほいほいと、俺もまさか女の子と出会ってそんなに時間も経ってないのにもう一緒に暮らす相談なんかするなんてなぁ、まぁでも、相手神様の使いだし、触れないけどかわいいし、いい娘だし、たぶんきっと大丈夫だ。
「……で、さっきから何やってるの?」
宙を舞い、ハオは興味津々に俺のPCをのぞき込む
「うわっ俺のアカウント!」
慌てて俺は先回りし、PCの画面をかばうようにハオからPCを隠した。一応全世界に見られてもどうでもいいようなことしか書いてないとはいえ、恥ずかしいっていえば、恥ずかしい。
「アカウント?」
ハオがキョトンとした顔をした、う~んSNSってなんて説明したらいいんだろう?
「日記を書くんだよ、日記。お互いの日記を読みあって、友達になるんだ」
う~んちょっと違うかもしんない、まぁいいか、こんなもんだろう
「わたしもやってみる!人間の考えを知れば、もっといろんな人間の願いを叶えられるから」
「そうか、じゃあちょっと待ってろ」
俺はPCの前に陣取り、まず無料のPCアドレスを作成、SNSのアカウント作成、と順にやってく。一応ハオのはハオのでわけてた方がいいだろう。
「自己紹介は……面白いから『お稲荷様の使い』でいいか、なりきりさんかな?ってみんな思うだろうし、プロフ画像……プロフ画像……」
ここで俺は手を止める、ここまで来たからには「どっかのギャルゲーで見た」的なプロフ画像は是非欲しい、できれば著作権に反しないやつが。
「狐耳巫女 無料」
別窓でそう検索して出てきた有志が作ったアイコンを、PCデスクトップに作った「ハオ」と書いたフォルダに入れて、アイコンに設定する。
「えぇっと、アルファベットは読めるかなぁ、とりあえず日本語入力にするよ。適当に芸能人とかの日記読んで、今日食べたものとか書いてるだけでも楽しいよ?」
はおたんたんめん
ハオは拙い指一本打ちでようやくそれだけ入力した、漢字とかわかんないのかな?だとしたら勉強させた方がいいだろうな。俺、人に教えるほどではないかもしんないけど。
「漢字知ってるよ?どうやってそうするの?」
おっ、もっとも確かに神社にも絵馬とかあるんだから、わかんなきゃつとまんないよな。
「ジンジョウショウガッコウ?できたときに、人間に混じって通わせてもらった」
尋常小学校……まぁいいや、俺はスペースキーを押した、
「基本的にはここと、『変換』って書いてあるとこ」
俺はハオ担々麺と変換した、エンターキー。
「これで更新完了、ハオ担々麺の写真があるともっといいんだけどね」
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