第31話 デートだから三体目は出るなよ?
「へぇ……」
俺はハオの『お稲荷様に仏様のがある』ってことを神器で検索して今知った。
「だいたい、そんなので検索しないで、下見ぐらいしてよ!もう!
『稲荷』って聞いて仲間にあえるかもって楽しみだったのに……」
ハオはまだ怒ってる。なんとか機嫌を治してもらわないと。
「……じゃあ、神社ならよかったんだ?」
俺はハオの言葉をなるべく前向きに捕らえた。
「うん、神社ならお稲荷様でもいいよ」
俺にはわかんないけど、仏様と神様って仲悪かったっけ?
「え?仏様と神様は普通に仲いいよ、ただちょっと系列が違うから気をつけてね」
俺の心を読んでハオは答えた。
「系列、ねぇ?」
なんかコンビニみたいな。
とかく恋人たちのホテル近くからは離れよう、俺は神器を拾い、駅へと歩く。
「どこ行くの?」
「とりあえず駅に行こう、ハオ、リベンジさせて」
うん!素直にハオは笑みを浮かべる、やっぱいいこだ。
そうだついでにハオの理想のデートを聞いておこう。
「ハオ、理想のデートって?」
「え?えぇっと……」
ハオはちょっと困った顔。
「ハオは俺の恋愛を応援してくれるんだろう?で、神様の使いで、前『嫁に来ないか』的なこと言われたことあったとか言ってたし、なにより可愛いし、百戦錬磨なんじゃないかと思って、教えて?」
「……そう見える?」
ハオは俺と目を合わせない。
しまった、なんかまずったか。
確かにハオって年頃の女の子的な外見にしては世間ずれしてないけど……。
「そうは見えないけどね、どんなデートがいい?」
また怒らせないようにしないと。
「……ないの」
ハオは俯いて言った。
「明緒は『デートしよ』って誘ってくれる、でも、明緒以外に誘われたこと、ないの……こう見えて神様の使いって忙しくって……」
そんなことだと思ってたよ俺は。
それにしてもハオ、泣き出しそうだ、なんとかしないと。
「なんかあるでしょ、夢とか希望とか行きたいとことか」
頼むからなんとかいつものハオに戻ってくれ。
しかしハオは俺のそんな心の声を聞いてか聞かずか急に怒り出した。
「だいたいデートって恋人同士のすることなんでしょう?明緒とわたし、恋人同士だったけ?」
「え?そっち?」
あ、これ俺地雷踏んだ……。
「そもそもどうしたら恋人同士なの?」
うわ、ハオの外見年齢では知ってていいようなことも知らないんだ、たぶん神様の使いって、それだけ外界からは遠ざかってるんだなぁ。
「告白してOKもらえたら、かな」
俺は大人の余裕で答えた。俺のギャルゲースキルなめるな、(ギャルゲーなら攻略本見ながら)百戦錬磨なんだぞ。
「それじゃ、俺とは恋人じゃないしこれはデートじゃない、ここまではまぁ……
しかたないよ、じゃあ今日俺とどんなとこで遊びたいか言って?」
何回かデートするうち好きになるとか、ギャルゲーじゃ王道だしね。
「じゃあ、歌!」
ハオはいつもの元気に戻った。
「思いっきり歌いたいな、ね、どこでならいいの?」
以前ハオの歌声が大きいって軽く注意したのを気にしているようだった。
「じゃあ、ここの駅前のカラオケ行こうか」
やっとデートらしくなって、俺は胸をなでおろした。
☆
で、ハオの歌だが、動画サイトで『きゃんきゃんバニー ED』とかで検索すればだいたいの実力はわかるだろう。
ま、可愛いよ?
……いいんだ可愛ければ。
「ピピピ」
俺の神器が光った、着信みたいだ
「由利ちゃんだ、出ていい?」
「いいよ」
ゲームマニアの由利ちゃんねぇ、心の勾玉持ってないのになんだろう?
「はい、明緒です」
「あ、携帯つながった」
画面を見れば、何回か着信があったみたいだ。
「ちょっと大変なの!」
「由利ちゃん、ゲームの話なら後にしてくれる?今立て込んでいて」
俺と由利ちゃんは今はどんなゲームが面白かったとか電話で無駄話できる友達だ。
「そうじゃなくって!なんか紫の煙とお社!あれなんだろう?なんかのゲームの
イベント?」
え?なんだって?
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