第32話 最後の戦いに向かって?
「明緒くん、えとね、いつものゲーム屋わかるでしょ?私時々、店長に断わって、そこのゴミ箱からお宝もらってたの」
「すな!」
ゴミとはいえ拾ってたら違法だからな。
「だってお店がもう捨てたゲームのポスターとかPOPとかかっこいいんだもん。
今日はマイナー格ゲーのポスター見つけてうきうきしてたらね、なんかね、
いきなりアーケード街に紫のとことお社みたいなの現れて!」
由美が電話で言っているのは、俺の思う限り祟り神だ。
「みんな、警察も本気にしてくれないんだもん!
ね、何のゲームのイベントなの?」
「マイナーなゲームだよ、大丈夫、俺が倒すから」
「え?そうなの?明緒くんやってるゲーム?」
神器の電話機能を切り、マナーモードに切り替えて俺は電車に駆け込む。
由利が見たものが祟り神なら、ごちゃごちゃ説明してる暇はない。
あれ?でも待てよ?
「なぁハオ、祟り神って今まで心の勾玉持ってる人の近くに出たよな?」
例外か?と俺、
「うん、そう思ったんだけど……それより、またゴミ貯めだね」
電車の中をふわふわ浮いてるハオは、またなんか寂しそうだ。
☆
電車を降りて走る、幸いゲーム屋はアーケード街すぐ。
沙織から前聞いたことがある、祟り神はハオと同じ、俺ら以外には見えない、
らしい。
というのがそれにハオがこんなふうに口を挟んできたからだ。
「もしかしたら……私と同じで……霊感強い人には見えちゃうかも……」
まぁ大丈夫だろう、由美ちゃん、ホラーゲーム嫌いらしいから。
神器がゲームの戦闘BGMを掛ける。
ショッピングモール、お社、果たしてまだ祟り神は出てない。
「よかったー!もう、本気にしてくれるの明緒ぐらいしか思いつかなくて!」
ゲームの話に付き合ってるだけなのにいつの間にか頼りにされてるんだな、俺。
「そう?いつも下らない話しかできないけど」
事もなく言う。
「ぜんぜんいいよ!下らない話に付き合ってくれる人、貴重だよ?」
そうなのかな?と俺。
なんかおかしいと思ってたら神器が『いつもノーベル文学賞候補とか言ってる
あの
「こんなことしかできないけど……」
そういって由美ちゃんは俺のズボンに手を添える。
やめて、うれしいけど、笛吹きはやめて。
俺は思わず強く目を閉じる。
みんなが見てるのに。
由美ちゃんはためらわず俺のポケットに手を突っ込み、一気に固いモノを入れる。
……入れる?掴むんじゃなく?(おい)
「何?これ?」
俺のポケットには可愛い弁財天のフィギィア。
「……スワティってキャラのフィギィア、レアだよ?」
ま、ありがちですけどね。
「じゃあ、ちょっと敵が出ると思うから……そうだ由美ちゃん、俺ゲーム屋の
クーポン溜まったんだ、こないだ見せたガラスケースの『ザナック×ザナック』
買ってきて、後でやらせてあげる」
ザナック×ザナックはコンパイルっていうゲーム会社が倒産間際にプレステで出した名作STGで、マニアの俺は当然欲しかった。
このためにポイント貯めてたんだけど、由利ちゃんの方が今は大事だ。
いいや使っちゃお、さよなら俺の五千円札。
「わかった!」
ゲームショップに入る由利ちゃん、幸いまだ祟り神は出ない。
俺は頂いたスワティのフィギィアをその辺に置くと(邪魔だから)この辺りを歩行者が通らないようにするにはどうするかばかり考えていた。
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