第24話 ゆりゆり!
「あ、あの!」
鈴木さんは耳まで真っ赤にしながら、走っていく。
たばいやばいやばい、なぎさ会長はあぁ見えて女性だからいやそういう恋もいいかもだけどいやまて。
「ずっと憧れてました!是非演劇の話をしたいんです!」
慌てる俺を押しやって、鈴木さんは、沙織に最敬礼した。
ん?沙織?
なんだ沙織かぁ、え、いや沙織だってあのほら。
「ヒロイン役なんですよね、文化祭、私のこと雑用でいいんで演劇部で使ってください!」
「あ、えーと、鈴木さん、だっけ?」
沙織は戸惑っていたが、鈴木さんのことは知っていたみたいだ。
「沙織、知り合い?」
「時々演劇部見学に来てくれるの、もっと中で見ていいよ、って言ってるのに」
沙織って基本フレンドリーだもんなぁ、しかし……。
「お願いします!雑用でいいんで!」
「もう、わたしそんな権限ないんだけど……部長に頼んでみるね」
「ありがとうございます!頑張ります!」
鈴木さんは感激のあまり沙織に抱きついて泣き出してしまったぞ。
純粋な子だなぁ、そんなに沙織と友達になりたかったのかなぁ。
(ちょっと違う気もするけど、気にしないでおこう)
そんな鈴木さん見てたら、俺もなんか嬉しくなったよ。
部外者である俺が立ち去ろうとすると、
「明緒さん、ありがとうございます」
鈴木さんが俺を追って走りより、俺の手を握ってこう言った。
「勇気を出してよかったです!これからも、いいお友達でいてください!」
俺は鈴木さんの心に触れたような気がした、手を繋いだけど、鈴木さんの胸が勾玉の形に光る様子はない。
ハオが首を横に振っている、鈴木さんは「心の勾玉」を持ってないんだろう。
でも、俺は幸せな気持ちに包まれていたから、きっとそれでいいんだろう。
例え、『俺って女の子にいいお友達キャラでしかないのかなぁ』なんて思って実は後で結構落ち込んだとしても!!
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