第28話 俺はライダーじゃねぇけど
俺の思った通り、祟り神は(出なくていいのに)出た。
俺の焼きそばパン、ちょうどそれに似てる。
どんなんて、だから芋虫みたいな身体してて、ぐにゃぐにゃした背びれがついてて、全体的に茶色くて、キモくて、キモイ。(語彙死亡)
戦隊とか見てると「あんなん実際に見たら笑うわwww」とか思うのに今俺すげぇ怖い、足ガクガク、え?俺あんなんと戦うの?って感じ。
「これ、なんの撮影?」
なぎさ会長!こういうの見るタイプだったんですか、まぁいいですそう思っててください。
あ、でもこういうのってやっぱ俺が戦えるの見られちゃやばいやつだな。
「え~っと、これから俳優が来て撮影するんで、ちょっとハケて下さい」
俺はそう言って適当な民家の陰になぎさ会長を行かせる。
「それと着替えるんで見ないでくださいよね」
「わかった」
なんかすんなりと俺のでたらめが通って、さて、行こうか。
祟り神はこちらに気づくや否や「バゴーン」とかいう奇妙としか言いようがないうなり声を立ててこちらに向かってきた。
俺は地を切って走り出す。
まず焼きそばパン祟り神が芋虫みたいに何本もある足のうち一番上の大きなそれを腕みたいに振り回して俺にパンチを繰り出してきた。
よける俺、ゆっくりだからよけられないことはない。
その拍子に地に手を着いて、足を開き、かがんだ勢いで思いっきり弾みをつけ、手を軸に祟り神に回し蹴りをくらわす。
ふらつく祟り神、しかし効いているような手ごたえはない、しかたなしにその辺のごみ貯めから捨てられてた大きな菓子の缶を取り、武器にする。
バゴン!
俺の攻撃は当たった、が、音は大きいがこういうのってお笑いのタライと同じならきっとそんなに痛くない、でも俺の拳は、何を隠そうパンチの要である圧力がひどく少ないんだ。
しかたない、これでいくか。
バゴーン!バゴーン!
声を上げ先に攻撃したのは祟り神、焼きそばみたいな舌だして、ソースみたいなよだれだして、思いっきり俺に頭突き!
「くっ……」
やべぇ、すげぇ痛ぇよ、もう特撮見ても血糊甘いなぁなんて言いませんから、神様、俺、怪我だけは……。
バゴーン!
祟り神は頭突きの衝撃に眩んだ俺をさらに痛めつけようと焼きそばが垂れたみたいな尻尾を振り回しテールアタックを繰り出した。
俺は「ぐふっ」となりながら、なんとか祟り神の尻尾を腹で受け止める。
そして、持った尻尾をそのままウルトラマンよろしく振り回し、投げた!
見ろ!神器は反応してねぇけど、特撮の知識だけでなんとかなったよ俺!
ひょっとして俺TUEEEんじゃねぇの?
しかし、調子に乗ったところを起き上がった祟り神に嚙みつかれ、とうとう俺は名誉の負傷をしてしまった。
こうなったら変身だ。
俺は神器と心の勾玉を取り出す。
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