大海原の波をすべるように走る、大型クルーザー。
全長16メートル、全幅5メートル、定員は15名の超高級プレミアムボートである。
真っ白な船体に描かれているのは、ロリコン・マニアが鼻血を吹き上げること請け合いの、萌える女の子のスクール水着姿である。
むろん手書きだ。
セレブご用達の船体価格は、1億5,000万円を超える。
庶民にとっては夢のような金額。宝くじが当たったって、クルーザーを即購入する人は多分いない。それよりもマンションなどの不動産を押さえるほうが得策であるからだ。
「ウワッハッハッハッ! 気持ちがいいなあ、弟よ」
「うん、こんな船で海を走るのは、確かに気持ちがいいね」
「もっと大きな船にしても良かったんだぞ、誠介。お金ならある」
「だってぼくたち二人だけなら、この船でも贅沢すぎるよ」
誠介は、コックピットで舵を握る愛一郎をしげしげと見つめる。
「それよりもね、お兄ちゃん」
「どうした誠介。ハグでもして欲しいのか、困った甘えん坊だ。だがな、この兄は現在操縦に全神経を集中せねばならんのだ」
「いや、見ればわかるよ。こんな全速で走ってる時に、コックピットで抱き合ってたらおかしいでしょ。
そうじゃなくてね。お兄ちゃん、寒くないの?」
誠介は真っ赤な越中ふんどし姿で舵を握る兄に訊く。ちなみに誠介はダウンジャケットにマフラー、毛糸の帽子を被り、しっかりと救命具を装着している。真冬の海だから、当たり前である。
「寒いだと? ふん。海の男は常にふんどし一丁だぞ、誠介。遠洋漁業をなさっている漁師さんなどみなさんこのスタイルだ。海の男さ。
それに万が一海に投げ出されてもだ。この真っ赤なふんどしは前部分が伸ばせば五メートルほどあるからな。
鮫や鯱なんぞは怖がって近寄らないらしいぞ」
愛一郎はウインクしながら股間を指さす。
それは別の意味でコワい……
「いやいや、ふんどし一丁って、それはどこか南方に住む漁師さんの話でしょ。
それにこんな真冬の海に投げ出されたら命にかかわるよ。せめて救命具だけでも着けてくれたほうが」
「は~っはっはっはあ! 相変わらず誠介は心配性だな。大丈夫だ。伊達にテレビで『密着・有名俳優のマグロ一本釣り』を見ているわけではないぞ」
「でもお兄ちゃんさ。漫画の締切りが毎週あるのに、よく船舶免許を取得する時間があったよね」
「ないぞ」
「……えっ?」
「大丈夫だ、誠介よ。『カジキを追いかけろ! クルーザーで世界の果てへvol.17』は何度も見てるから、この程度の船なら朝飯前だ」
「ちょ、ちょっと意味が理解できないんだけど……
だってこの船を買う時や登録する時に」
「ああ、それなら編集長と例のダップンさんがうまくやってくれたさ。ちと銭はかかったがな」
「む、無免許?」
誠介の顔面がサーッと青くなった。
愛一郎は鼻歌まじりに華麗に舵を捌いている。
涼ノ宮兄弟は、こうして初クルージングを楽しんだのであった。
久しぶりの兄弟でございます。
さ、ここでカクヨムさまをチェックいたすお時間ですわね。
あ、 「THE☆騎士MEN」にレビューとお★さまをいただいております!
くさなぎ そうし さま
いつも大変お世話になっております。この度はお目通しくださり、またお★さまをば頂戴いたしまして、誠にありがとうございます!
モチベーションが一気に上昇いたします♡
心より御礼申し上げます♬
陽野ひまわり さま、
ひまわりちゃ~ん、お時間を割いてくださり、素敵なレビューまでいただきまして誠にありがとうございます!
赤面してしまうお褒めのお言葉、嬉しい♡
変態度は小さじに少々、でございます。描写が美しいなどと、わたくし初のレビューに感激いたしております。ナゴヤ愛が溢れるように描いてみました。
心より御礼申し上げます♬
あ、「魔陣幻戯」にお★さまを頂戴しております!
くさなぎ そうし さま、
長編を二作もご覧くださり、誠にありがとうございます!
特に今作は16万文字と、気が遠くなりかけるお話ですゆえ、お★さまはとても感激でございます♡
心より御礼申し上げます♬
ま、「カクヨム・パラレル・ワールド」にレビューをいただいております!
板野かも さま、
どうも初めまして! この度はご多忙の中、わざわざご覧くださり、またレビューまで頂戴し誠にありがとうございます!
一億総カクヨム……そうなる日が来ないとも限りませぬ。などと勝手に思っております♡
心より御礼申し上げます♬
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!
二五六九@どらいもん さま、
どうも初めまして! お忙しい時節にお目通しくださり、またレビューまでいただきまして誠にありがとうございます!
狂気を感じていただけましたかしら? うふふ♡
つばきの持ち味、でございます。
心より御礼申し上げます♬
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!