『私はKADOWAKASUブックの敏腕編集者。
ショートボブの髪、ミニのタイトスカートのスーツ、ナチュラル・メイクは、ファッション雑誌から抜け出たような私のアダルトな魅力を、余すことなく発揮してくれます。
今日はティーンたちに絶大な人気を誇る恋愛小説作家、腐乱(ふらん)ソワーズ先生のご自宅に新作の打ち合わせにお邪魔しているところです。
雑誌連載を数本抱え、さらに書き下ろしを月に一本書かれる先生は、今や我が社の看板作家。
とにかく売れるのです。書けば書いただけ重版がかかる作家は、今や先生くらいではないでしょうか。
腐乱ソワーズ先生のご自宅は、閑静な住宅街にありひときわ目を引きます。
白い洋館の庭園には幾千本もの薔薇が咲き、まるで少女漫画に出てくるような佇まいなのです。
私は打ち合わせ用の広いリビングで、高級ソファに浅く腰を降ろして先生と向かい合っています。
先生はピンクのセーラーカラーに真っ赤なリボンを胸元に結ぶ、セーラー服をお召しになっておられます。
これは現在雑誌で最も人気の高い、「JKは壁ドンから天ドンへ、漬物添えて♡」なる女子高生主人公の着る衣装なのです。
そうです。
腐乱ソワーズ先生は、お書きになる主人公の衣装を特注され、執筆中は完全にヒロインになりきって筆を進める癖をお持ちなのです。
以前、映画にもなった「オレンジ、よりもハッサク」の執筆時には、ヒロインがアルバイトをするはめになるバーニー・スーツを着用し、机に向かわれていました。
あの物語は今読んでも、ラストシーンにとめどもなく涙があふれます。
「先生、書き下ろし用の次回作なんですけど。
今度は中世ヨーロッパを舞台に、戦争に巻き込まれる悲劇のヒロインを描いてみませんか。
社交界に突如現れた、絶世の美女。彼女が舞踏会で着る華やかなドレスを、お作りいたします」
「おお、それはいいじゃないか。うんうん、イメージがわき出したぞ!」
先生はバーコードのヘアをなでつけます。
あっ、言い忘れましたけど、腐乱ソワーズ先生は男性でいらっしゃいます。
来年、還暦を迎えられます。
ソファに座る先生は、短いスカートの脚を組まれました。まぶしい白いニーソ。太腿には剛毛がびっしりとのぞいています。
少し頭部に移植しても、問題がないくらい。
先生は執筆につまると、よく散歩に出られます。
もちろんヒロインの衣装のままで。
だからよく警察から私宛に確認の電話が入るのですけど、もう慣れっこになっています。
街中で職質を受け、そのまま連行されてしまうのです。
警察へ身元引受人として行くと、必ずこう言われます。
「セーラー服を初老のおじさんが着ちゃいけないって法律はないけどさ。やっぱり公序良俗を考えるとね」
私はそんな言葉は受け流します。先生は我が社のドル箱なのですから。
「では先生。次回までにドレスを発注作成しておきますね。今回も感動を呼ぶ物語を、ぜひお願いします」
私が席を立つと、先生は私を見上げました。
「念を押すがね。わしのこういうスタイルは、決してお下劣な趣味を持っているから着ているわけではない」
「はい、存じております。あくまでも傑作を書かれるため、ですから」
「では聞かせてくれたまえ。君は、なぜその恰好なのだ」
「はっ?」
「腹の突き出た中年のオッサンが、タイトスカートにヒールというのは、単に君の趣味。そうなんだろう。しかも真っ赤なグロスを塗りたくって。
警察で君に迎えに来てもらうことが、しばしばあるのだがね。
必ず帰るときに警官から耳打ちされるんだよ。
同好の趣味仲間ですか、ってな」
先生は痛いところをついてこられます。
いいじゃないですか。
このスタイルのほうが仕事ははかどるし。
まあ、趣味と実益を兼ねてるってところではありますけども。』
女装家なるかたがたを、テレビでよくお見かけいたします。でも男装家って、いらっしゃらないのかしらねえ。
タカラヅカは、ちと違いますし……
などと、いらぬことを考えながらカクヨムさまをチェックです。
あ、「みかんをのせた、もっちん」にお★さまをいただいております!
伊藤愛夏さま、
愛夏り~ん♪ お忙しい中、わざわざご覧くださり誠にありがとうございます!
お目通しくださるだけでも感激なのに、きらめくお★さまを頂戴できて嬉しい♡ つばきの本線から、なぜか脱線した今作です。
多分、お正月に熱でうなされたときに、少しネジが緩んでしまったみたいでございます。すでに正気にもどっておりますゆえ、次回からはいつもの世界へ戻れます♪
心より御礼申し上げます♬
鉈手ココさま、
どうも初めまして!
この度はお忙しい中、わざわざご覧くださり誠にありがとうございます!
グロやサイコパスの物語が多いわたくし。今作は、何かの間違いで描いてしまいました。
お★さまは、本当に感謝でございます♩
心より御礼申し上げます♬
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!
あ、「THE☆騎士MEN」にお★さまを頂戴しております!
鉈手ココさま、
今作までご覧くださり、誠にありがとうございます!
少年少女の皆さま向けに描いた物語。いただいたお★さまは、つばきのモチベーションアップにつながります♩
心より御礼申し上げます♬