近況ノートに書くべきことではないのかもしれません。
ただ、わたくしは嘆き悲しんでおります。
眉村 卓先生が昨日鬼籍に入られました。
わたくし高尾つばきが幼き頃に初めて読んだ小説は、江戸川乱歩先生の御作でした。
おどろおどろしい世界に夢中になっていた幼少期。
本の神さまはそんなわたくしにある日、一冊の本を「ほらっ」と渡してくださいました。
それが眉村先生の昔に書かれたジュブナイル小説、『天才はつくられる』です。
ジュブナイル小説など子どもだまし、と思って流し読みですまそうとページをめくっていきますと「エエッ!」と驚愕いたしました。
面白いのです。
わたくしが生まれるもっと前に書かれた物語であるにもかかわらず、古くないのです。
こんなに凄い小説を書かれる作家がいたんだと、それから本屋さん、古本屋さんを歩き回り手当たり次第に眉村先生の小説をむさぼる日々が続きます。
書籍になっている作品はすべて購入し、いまでもわたくしの書架においてあります。
何度読み返したことでしょう。
へたな小説を読む時間があれば、迷わず眉村先生の小説をもう一度読みたい。
アニメ映画にもなった『時空の旅人』は、『とらえられたスクールバス』のタイトルで本を入手しております。
映画になった『幕末未来人』、『幕末高校生』の原作である『名残の雪』はバイブルと申しても過言ではありません。
もう眉村先生の書かれる小説を読むことは叶わなくなりました。
でも眉村先生が創造された物語は、わたくしは未来永劫語り継がれる価値が十二分以上あると信じております。
眉村先生、ありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。